Infinity recollection

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猫物語 (黒) (講談社BOX) [感想]

猫物語 (黒) (講談社BOX)

 

知らぬまに、落ちているのが初恋だ。

 

傷物語を読んでいるうちからそうだったのだけれど、何故、阿良々木君は羽川さんと付き合っていないのか。阿良々木暦が羽川翼に恋をするのは酷く自然の流れで、むしろそうなっているべきだったのではないのか。

 

それが不思議なことに化物語を読んでいても、二人は付き合っている様子はなくて、ずっと友達のままだ。彼が臆病だからだろうか。体育倉庫で何も出来なかった阿良々木君には何も出来ない、と。

 

けれども、そのあと彼は”戦場ヶ原ひたぎ”と付き合い始める――。

 

どうして? と、それが上手い具合に解消される。悪夢のようなゴールデンウィークのお話。

 

羽川翼、化け猫――白と黒。

 

表紙とタイトルから、羽川が黒なのだと印象付けられ、読んでみると羽川は白で、読み進めると黒になる。逆に猫は色的にも白だけれど黒で、読み進めると白になって。けれども、白も黒も、裏も表も表裏一体なのだなと、そんな単純に落ち着く。

 

言葉遊びで翻弄されかけるけれど、話の流れで確信に持っていくのは気持ち悪いほど上手い。納得できてしまうのが凄いし、その他の理由だったりも解決しているのが嬉しい。

 

衝撃的だったのは羽川の家だろうか。あれは、想像し得ない。想像できそうで出来ないし、想像したくない。家族はいない、羽川の一言の重み、想いを知ることになる。

 

つばさファミリー、納得だ。

 

――また、今回も阿良々々々木先輩の変態紳士っぷりはかなりのものだった。巷の変態紳士を軽く凌駕してしまうのではないかと想うほど、変態だった。

 

妹のパンツが白いことに対して当の本人と議論するのは当たり前、妹のおっぱいを揉んで離さないばかりか、おっぱいが手を揉んできたのだと言ってのける。

 

月日も月日で、そこは色々と抵抗してくれと言わんばかりだ。まさか、唇まで差し出そうとするとは思わないじゃないか――。そして変なところで線引きをするありゃりゃぎ先輩。

 

もう、阿良々木君のボーダーラインがどこにあるのか分からない。

 

面白かった。期待しているところを様々、見事に裏切ってくれる著者は、流石だ。

 

 Presented by Minai.

猫物語 (黒) (講談社BOX)

猫物語 (黒) (講談社BOX)