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Infinity recollection

ライトノベルを中心に感想を載せているサイト。リンク+アンリンクフリー。

生贄のジレンマ〈上〉 (メディアワークス文庫) [感想]

生贄のジレンマ<上>: 1 (メディアワークス文庫)

 

 土橋真二郎さんの新作ということで購入。

 

 相変わらずの著者らしさが出ていて良かった。人間の醜悪な部分が静かにゆっくり染み出しているのが、いい具合に気持ち悪いです。悪い本性が良く出ていました。

 

 今回は卒業を間近に控えた高校三年生がターゲット。生き残るためには生贄を差し出さなければならないというサバイバルゲームです。生贄を差し出さない場合には全員が死ぬ。

 

 最初はみんな死ぬわけがない、そんなゲームあるわけない、と言い合うのだけれど、誰もがルールを破ろうとはしない。それは心の中に、もしかして……、という考えがあるから。

 

 そんな無言の恐怖が作中に蔓延していた。

 

 結果として、現実に死人が出てからはパニックです。これも皮肉な話なのですが、生贄を差し出したクラスはその生贄以外が全員助かり、生贄を差し出さなかったクラスは全員が死にました。

 

 聖人のような者達は全員死に、ある意味人間だった者は生き残る。

 

 全員が全員の足を引っ張るとでもいいますか、全員の生存は不可能なので、誰かが死ななければいけないのだけれど、当然自分は死にたくはないので、他人が死ぬことを待つことになる。すると、今度は全員が死ぬというリスクが待っている。

 

 誰も生贄を好きで選ぶわけではないし、選んでしまってから選んだ人間を断罪できる権利もない。正しくない人間がいないというのも意地悪だ。

 

 相変わらず、死の恐怖からの描写は上手かった。

 

 極限状態で、友達という関係の希薄さが浮き彫りになる。主人公にしても早々に集団から爪弾きにされてしまって今後が心配です。

 

 面白かった。

 

 Presented by Minai.