Infinity recollection

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キノの旅 14 the Beautiful World (電撃文庫) [感想]

キノの旅 14―the Beautiful World (電撃文庫 し 8-33)

 

 キノの旅、十周年おめでとうございます。

 

 昔から読んでいるシリーズのような気がしますが、気付けば十年なのですね……しみじみ。もっとも、自分が読み始めてからは十年経ってないですけれども。

 

 そんなキノの旅ですが、大幅に内容が変わるわけでもなく、雰囲気はいつも通りのキノの旅でした。これこそ安定した面白さになっているので、正直なところが語ることもないのですが。

 

 全体通してスッキリしていた印象。

 

 基本的に短編だが、その短編があっさりしている。キノが何をしたというよりも、その国の説明やらで物語を楽しませていて、だから入国してからどうこうというのが少ない。

 

 いつものようにキノは三日間で国を出ることはやっているのだろうが、その国で何をしていたのかが描写されることは少ない。また、より少ないページで話が構成されていた。

 

 そういう意味で、スッキリであっさり。

 

 物語は静かにまとまっているのだけれど、内容は時事的なことを含んでいるので、興味深く読めるのも良い。呟きの国はまさにだし、正しい国は中々に考えさせられる。結婚の国は挿絵含め流石で、寄生虫の国もある種温かくて良かった。

 

 個人的には、亡国の国が一番だろうか。シリアスな内容なのにそれを感じさせない語り口。真相はどうだがわからないのだけれど、その場の空気にユニーク、シニカル、シュールといった一連の印象を受けて楽しめた。

 

 予想していたところと違う方向性が出てきたものだから、驚きつつも感心してみたりして、何とも不思議な変化がついた。

 

 面白かった。

 

 Presented by Minai.