Infinity recollection

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スプライトシュピーゲル I Butterfly&Dragonfly&Honeybee (1) (富士見ファンタジア文庫) [感想]

スプライトシュピーゲルI Butterfly & Dragonfly & Honeybee (富士見ファンタジア文庫)

 

 ドキドキするっしょーっ!

 

 近未来のウィーンを舞台に、紫、蒼、黄、三色の妖精たちが機械化された身体を駆使して社会に蔓延っているテロと戦う物語。

 

 世界観がしっかりしていた。近未来だけれど、そこに描かれるテロリズム、宗教、民族が深く関わっている部分だったり、現実世界が持っている闇を上手く表現していた。

 

 先進国にいて普段は考えないだろう世界の現実。SFを含んだフィクションだからこそ、その中にあるノンフィクションが浮かび上がってくる気がする。

 

 これらフィクションであり、ノンフィクションの一面を見せる様々な問題。デリケートだったりするのだけれど、それらをわだかまりなく、あっさり描いているのは流石だ。

 

 一見して読み難い文章。

 

 記号を多様した独特の文体に最初は戸惑うが、読んでいくうちに慣れるので直感で読めるようになる。慣れればスラスラと読めるという、何とも不思議な感覚だった。

 

 文章を想像する過程を取っ払うかのように、始めから映像として文章を捉えられるので、描かれている内容に爽快感を感じる。上手い。

 

 また、登場人物にしても魅力的で。一巻であることから、キャラクターそれぞれの背景に迫った物語が展開されているのも良かった。少女たちの置かれている異様さと、少女たちが生きようとしている健気さの対比が美しかった。

 

 中でも乙は可愛らしかったです。というより、読んでいて楽しかった。ボーイッシュなのだけれど、男扱いされるのは嫌う。可愛らしい。

 

 面白かった。

 

 Presented by Minai.