変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J) [感想]
第6回新人賞〈最優秀賞〉受賞作
主人公の横寺は煩悩にまみれた高校生、建前で喋るのを治す為に願いを叶える”笑わない猫”に祈ったら、思ったことをすぐ喋る体質になってしまった。同じく本音を奪われた筒隠月子と共に、建前と本音を取り戻す方法を探す。
荒さはあるけれど、やっていることは楽しめた。
誰もが素直に感情を表現できれば一番いいのだろうけれど、それは中々難しい。打算で会話したり、突き詰めると気を使うというのも建前かもしれなくて。
そんな建前と本音の狭間で上手く青春していた。
小豆梓は過去にイジメられたことで、素直に人を信じることが出来ない。彼女自身は信じたいのだけれど、また裏切られるのではないかという恐怖があって。それなら、始めから仲良くならなければいいと孤立する。
友達は欲しいけれど、欲しくない。そんな彼女がとても可愛らしく映りました。
また、部長が凄かった。部長がそこにいくとは予想外だった。月子を大切に思っている方向性だろうと予想しつつ、そこを斜め上に突破した印象。ここまで積み上げたものが曲るのが面白い。
残念なところは、主人公に馴染めなかったということだろうか。その言動が納得できなかったというか、違和感を感じた。変態なのはいいのだが、どうにも人柄が好きなりきれなかった。
だけれども、新人さんとしてはとてもよく出来ている部類だと思います。物語は面白いですし、イラストも可愛らしいのでジャケ買いしても損はない。文章も読みやすいですし、バランス感覚はよいものを持っています。
最優秀賞を受賞した作品だけはある。
Presented by Minai.
- 作者: さがら総,カントク
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/10/21
- メディア: 文庫
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