Infinity recollection

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お嬢様のメイドくん (一迅社文庫) [感想]

お嬢様のメイドくん (一迅社文庫)

 

主人である咲夜の命令で、全寮制の名門女子高に通うことになった雪風だったが、雪風には一つ問題がある。それは雪風が男だということ。それを隠すために女装して学園生活をおくろうとするのだが――。

 

咲夜の”自分は何も出来ないのだから雪風がいないと困る”という発言から一緒に女子高に行くことになるが、意外だったのはその咲夜がある理由から序盤でフェードアウトしてしまう点だ。

 

てっきり、咲夜と雪風の関係が描かれるのかと思いきや消えるので、物語の予測が付かなかった。変わりに登場するのが生徒会メンバーで、この個性的な女の子たちと触れ合いながら、自分と他人との関係性に気付いていく。

 

女装した男の子が主人公――その手の作品は苦手なのだけれど、男と女の違い、生徒会メンバーの立ち位置や特性との対比などから見えてくるもの、終盤で気付かされるテーマには考えさせられたし納得させられた。

 

キャラクターは個性的であるし、好感が持てるのでラブコメも面白い。けれども、どこかで”女装している、女として見られている”、と考えてしまう自分もいた。

 

物語にしても多少の粗は見られるけれど、それでもこのテーマのものを最後までまとめるのは凄いし、文章もとても読みやすい。

 

ただ、気になってしまったのはエロイ描写と直球で挑んできたオトコの娘という存在、女の子という存在の描写だ。これがあるからこそテーマが生きて来ることは理解できるのだけれど、その表現に面食らってしまった。

 

面白かった作品だし、他には無い作品でもあるけれど、自分の中でそれらが引っ掛かって最高に楽しめる作品ではなかった。

 

 Presented by Minai.

お嬢様のメイドくん (一迅社文庫)

お嬢様のメイドくん (一迅社文庫)