とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫) [感想]
完結編。
空の果てを目指したイスラが、空の一族と出会い、クレアを生贄に旅を続けるかの選択を迫られる。クレアが空の一族の下へ行けばイスラの人々は助かるのだけれど、どうにも出来ない。大人にも限界があって、自分達にも限界はある。
それでもカルエルはクレアを諦めきれない。そんなカルエルの為にアリエルも立ち上がるし、イグナシオだって手伝ってくれるのだ。もう、近衛兵とのやり取りが嬉しすぎるのだ。
ありがとうツンデレ、格好いいよツンデレ!
イグナシオがいいところを持って行く。これまで謎だらけで本心もよく分からなかったけれど、それが少し分かってきたところで別れがやって来る。最後までツンデレで素直になれない彼だけれど、歩み寄れはしたのだ。その姿が強く印象に残った。
カルエルとクレア。
短い時間だけれど、最後の時間。二人が交わしていく会話が切なく甘い。これまでのことを振り返り、今があることを実感する。二人の関係が本当に魅力的で、その笑顔は眩しくて。交わした約束は美しかった。
物語はここから空の果てを目指し、祖国への帰還を描いていくわけだけれど、そんな中で生き残った者と死んでいった者も描かれていく。彼ら彼女らの親が描かれたり、生きて帰ってきたのを泣いて喜んだり。帰れなかったことに泣いたり。
それぞれの成長が描かれていくのにも楽しませてもらった。後日談の如く、様々なことが流れていって、しかも流れていくだけではなく繋がっていた。
――そして、アリエル。彼女はカルエルに恋していたけれど、カルエルを応援する立場にずっと立っていた。カルエルとクレアが幸せになればいいと思いつつ、アリエルの言動に胸を締め付けられる思いだった。最後の滑走路には感動した。
面白かった。約束を果たしに行くカルエルは男だったし、二人の想いが伝わってきた。最後の引きも素晴しかった。
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- 作者: 犬村小六
- 出版社/メーカー: 小学館
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