トカゲの王 1 (電撃文庫) [感想]
アクセラさん、何やってるんですか。
――と読んだ人は一様に思ったことでしょう。口絵を見てもらえれば分かりますが、どこかの禁書に登場する人と似ています。もっとも、似ているだけで彼自身は性格からして似ても似つかない。
まず始めに言っておくと、異能バトルを期待しているのなら素直に禁書を読んだ方が良い。著者だから一筋縄ではいかないと思ってはいたが、異能があって主人公が事件に巻き込まれてしまう割には何もない。異能が目覚めて大逆転だとか、異能はないけれど頭を使って勝利とか、そういうのは一切無い。
最後に一発反撃するのはあるけれど、それで主人公の状況が変わるわけではない。
血まみれで床に転がり、身体は面白いくらいにバラバラ。主人公なのにヒロインの悪魔のような計画に踊らされていただけというのが中盤になって見えてくるのだが、そこからヒロインへの印象が激変して寒気が待っている。
ミステリーとホラーな雰囲気を前面に出して、時系列をぐちゃぐちゃにして先を読ませないのは相変わらずで上手い。著者の作品が好きな人は身構えて読むからいいけれど、何も知らずに異能バトルを期待してしまったら肩透かしを食らってしまうことうけあい。
そういう意味で皮肉っぽく禁書を出しているのかしら。
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- 作者: 入間人間
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/11/09
- メディア: 文庫
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