Infinity recollection

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回る回る運命の輪回る 僕と新米運命工作員 (電撃文庫) [感想]

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)

 

お菓子作りが好きなこと以外はどこにでもいる高校生の野島浩平。そんな彼の前に現れたのは工作員だという美少女ノア。彼女は浩平が運命を狂わせる存在《イレギュラ》なのだと告げ、浩平を排除しようとするが失敗。何故だか浩平の弟子として家に居座ることに。

 

何か良い。

 

運命が関わる大きな物語に見えるのだけれど、中身に書かれているのは学生の青春で、思わず読み終わったときに良かったと思える。運命を扱っている割にはあっさりしているので、そこで物足りなさがあるけれど、温かい気持ちにさせてくれるこの作品はとても魅力的。

 

小学校の時にはよく遊んでいた幼馴染。あることから喧嘩してしまい、仲直りの気を逸したまま中学、高校と進んでしまった浩平。そんな親友と改めて出会うことになるわけだけれど、不良と呼ばれるようになり容姿が変化していても、中身はやはり変わっていない。

 

相手を怒らせてしまったとか、あの時の行動が気まずいだとか、案外そういうのを覚えているのは本人だけで、相手は気にしていない。そんなこともあったよねと、懐かしむことはあっても改めて嫌いになったりはしない。

 

気遣って気まずくなったが故にお互いの足が止まってしまっただけ。年齢は重ねても親友は親友なのだ。

 

作品の中に盛り込まれている登場人物たちと繊細な関係性が良い。ファンタジーに学園バトルとかはないけれど、エンターテインメント色が強くはないけれど、素朴で優しい文章が素敵でした。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)