消閑の挑戦者〈2〉永遠と変化の小箱 (角川スニーカー文庫) [感想]
「ルール・オブ・ザ・ルール」終了後。
人類の頂点である裕杜を倒したのは誰か――。天才が開催したゲームの後、世界はそんな話題で持ちきり。憶測が数多く流れる中、彼を倒した鈴藤小槙はとある人物から灰火秋島に招待されるのだが……、ここでもまた事件が起こる。
小槙が灰火秋島に招待されたのはチェスの試合を観戦するためだったのだが、実は春野祥も同じように招待されていて、ここでも小槙との接点が出来る。
個人的に楽しかったのは序盤。祥が学校で「二週間くらい旅行に行こう」と小槙のことを誘うのだけれど、小槙は乗り気ではなく他の人を誘えばいいと返すが、他の奴には断られたと祥は返す。そこで小槙が応じるかと思えば、「100%ありえへん」と綺麗に断る。
小槙としてはイジメられるだろうから嫌だ、ということなのだろうけれど、祥は意外とショック。
何といっても、祥は小槙以外にはクラスの友達を誘っていないのだから。何故、祥は嘘をついて小槙を誘ったのか。断られたあとの言動などが良い。
この他にも、作中では登場人物の感情が自然と表現されている部分があるのだが、それがそのまま作品の魅力になっている。それは戦い、友情、恋愛、家族愛、と形は様々なのだけれど、キャラクターの台詞や動きからそれが伝わってくるのが心地良い。
さて、物語は灰火秋一族が作成したコンピュータ「ヘレナ」が元で大事件に発展するが、”パーフェクトキング”ほど頭脳戦があるわけではないので素直に読むことが出来る。その分だけ陰謀があったり、感情の動きがあり物語重視の書き方とも言えるかもしれません。
また、例によって祥は殺されそうになったり痛々しい境遇に陥るのですが、頑張って打開する彼の格好良さも魅力。面白かった。
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- 作者: 岩井恭平,四季童子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/07
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