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十六夜聖域1 イザヨイサンクチュアリ (富士見ファンタジア文庫) [感想]

十六夜聖域1  イザヨイサンクチュアリ (富士見ファンタジア文庫)

 

学園最強は誰だ。

 

世界には17年前より異能を宿した子供たちが生まれるようになった。主人公の宮殿芳一は平和と音楽をこよなく愛する高校生でしかなかったはずが、入学した聖湘学園は異能者ばかりが通う戦場だった。戦うのが嫌なら自分が頂点を取るしかない――なし崩し的にトップを狙うことに。

 

最強な奴らが巻き起こす異能バトルなのだろうけれど、物語のノリは不良漫画のそれだ。学校にはチームがあって、徒党を組んでいる生徒もいれば単独のものもいて、誰が学園最強なのかを決める。拳で語り合ってもいいし、交渉術も大切だし、尊敬を集めることが近道かもしれない。

 

主人公のようなタイプが天下を取るには仲間に最強な奴らを引き込むしかない。そこがこの作品の核であり、エンタメ的に楽しむべきところでもある。

 

キャラクターが個性的。

 

最強と言われて登場するキャラクターには個性的な奴等が多いので、彼らの周りを眺めているのが楽しい。特に魔淵は良い。飄々としているけれど、戦ったら絶対に強いだろうし、底が知れない。ミステリアスさと佳乃との距離感が好きです。

 

ただ、誰もが異能を持っている割には戦いがあっさりしているのは気になった。全体的に展開が淡々としているので、盛り上がりに欠ける。見せ場であろう場面でも、高揚感はそこまでなかった。文章が読みやすいだけに、印象に残らない。

 

また、主人公のキャラクター像がいきなり変化したように映り戸惑った。それまで優しい引っ張ってもらう側だったのが、唐突に覚悟を決めて口調も若干乱暴になるので、どうしたんだと。違和感は最後まで消えなかった。

 

今回で学園を一応は統一しているので、意識が外に向うことを考えると今後の展開は面白そうだ。あくまで一巻ですし、より深く展開と登場人物たちに関わっていくのは次からでしょう。

 

この手の作品は好きですが、個人的にどの作品も煮え切らないモヤモヤ感を残すのですよね、

 

 Presented by Minai.