Infinity recollection

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図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫) [感想]

図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫)

 

昇任試験から始まる第三弾。

 

図書隊に入隊して一年十ヶ月が経過すると昇任試験を受ける資格が与えられる。同期である郁、手塚、柴崎の三人も資格を得られたのだけれど、どうにも雲行きが怪しい。試験の一ヶ月前に手塚に呼び出された柴崎は実技テストのコツを教えて欲しいと頼まれるのだった。

 

秀才の手塚なので、昇任試験も合格間違いなしと誰もが思っているが、今回に限って実技テストが「子供への絵本の読み聞かせ」。子供との接し方が分からない手塚の脳裏には不合格の三文字が浮かぶ。

 

頼み込む手塚とそれを快諾する柴崎。もちろん代償は高くつきますが。プライドの高い手塚が誰かに助けを求めるというのも珍しいですし、その相手に柴崎を選んだというのにも興味がある。堂上や郁に頼めない手塚の気持ちは分かる。

 

手塚と柴崎はお互いに意識していないけれど接近しているのが良い。気付いたら相手のことを考えているだとか、電話してしまうだとか。二人は特に考えていないだろうけれど、周りから見たら怪しい。

 

違反語って決めたの誰?

 

折口さんのお話も良かった。違反語に焦点を当てたお話なのだが、「床屋」が違反語だとは知らなかった。まさに登場人物たちと同じ気持ちで、いつの間に……という思いが強い。今でも残っている言葉なので使えばいいじゃないと感じてしまうのだが。

 

最後の守る戦いも熱かった。何のために戦っているのかという図書隊の信念がある。それぞれの成長を描きながら、見せ場が上手いぐらいに配置されている。最後の場面、思わず敬礼したくなる。

 

毎回思うけれど、登場人物が生きているのが作品の最大の魅力だろう。それぞれが発する台詞一つを取ってみても、人としての説得力があるし、感情の揺らぎを取ってみるとこの人はそういう人物だよなと思わされる。言動から人間性が見えてくる。

 

そんなキャラクターたちが一生懸命に生きているから共感できる。面白かった。

 

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