Infinity recollection

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ヘヴィーオブジェクト 死の祭典 (電撃文庫) [感想]

ヘヴィーオブジェクト 死の祭典 (電撃文庫)

 

スポーツ戦争。

 

全世界がしのぎを削るスポーツの祭典、テクノピック。スポーツの祭典とは言えど、そこは各国の思惑が入り混じるパワーバランスを図るための代理戦争に他ならない。「資本企業」の航空PMCに所属する少女が与えられた任務は、テクノピックで好成績を収めてスポンサーの新型ライフルを宣伝すること。

 

まずはいつものバカ二人が登場しないことに驚いた。後で登場するものだとばかり思っていたら、最後まで登場しないので、二人の掛け合いを楽しみたい人は残念。読み手も楽しみにしていた一人なのだけれど……、もっとも初登場の少女が二人の分まで頑張っているので良しとしましょう。

 

さて、肝心の物語ですが、スポーツマンシップとは一体何なのか疑いたくなる、まさに全力のぶつかり合いでした。スポーツとは言いますが妨害は大いにありなので、大会二日目ともなれば暗殺がまかり通りますし、端からドーピングOKという、まさに何でもアリの競技大会。

 

競技内容も軍事寄りなので、スポーツの殻を被っているだけなのだなと思い知らされます。

 

そんな過酷極まりないテクノピックを単身跳ね除けていくマリーディに惚れる。未だ消耗戦を続ける激戦区「北欧禁猟区」で戦い続けてきただけに、戦闘能力、観察眼、技術、体力とプロを凌駕するプロ。いや強い。

 

また、航空PMCの名に恥じぬ空中戦も繰り広げられるので、爽快感もある。戦闘機という分かりやすい兵器を乗りこなす姿は、違う尺度でのエリートの姿に映りました。今後はマリーディが活躍する話も描かれていくのかもしれませんし、あるいはバカ二人と邂逅する日が来るかもしれません。

 

相変わらず、無駄に多い伏線と新たに追加されていく関係性。世界を舞台にしているだけに、広がりすぎていないかしらと思わないでもないですが……、面白かったです。

 

 Presented by Minai.