Infinity recollection

ライトノベルを中心に感想を載せているサイト。リンク+アンリンクフリー。

烙印の紋章 10 竜の雌伏を風は嘆いて (電撃文庫) [感想]

烙印の紋章 10 竜の雌伏を風は嘆いて (電撃文庫 す)

 

いや、ややこしい。ややこしくなってきた。

 

メフィウスがオルバとグールの二陣営に分断された内乱の様相を呈しているわけだが、当然、これを隣国は静観しているつもりもない。エンデ、ガーベラ共に、この期に乗じてという思いが強いのか不穏な動きが目立ち始める。

 

ガーベラはビリーナというお題目を掲げ、慎重派と過激派に別れて意見が激突。思わぬ形で、メフィウスでの騒乱の引き金になっていく。エンデはエンデで、兄弟の家督争いから、こちらも内乱を予感させますし、ましてやメフィウスまで出張ってくる雰囲気もある。

 

それぞれ、勢力争いが佳境を迎えているように映りますし、最終的にはこれをどのような形で治めてくれるのか。オルバには否応なしに期待してしまう手に汗握る展開。

 

ビリーナの活躍。

 

彼女の存在が如何にに大きいのかを再認識させられた。オルバが大人に、より王族の気質を備えたからというのもありますが、ビリーナがいるだけで場面が締まる。ビリーナがグールに迫っていく度胸には感服、自ら行動してしまう彼女が格好良い。

 

逆にオルバは後ろに控えているが、これがまた格好良い。戦いには赴かず、じっと腰を据えて作戦を考え、あくまで将たちを動かす姿は、一巻から読んでいると感慨深いものがある。特に、王族の力を行使する場面は、オルバが変わったことを象徴するようで熱い。

 

また、ライラとの一件には、パーシルが良い働きをしています。オルバの友、ライバル、家臣、どこにでもいてどこでもないような立ち位置。オルバのピンチに颯爽と駆けつける忠臣ぶりには男の友情を感じる。

 

文章は相変わらず上手いですし、男たちの心理描写は、己が信念をぶつけるようで人間味があって、キャラクターが生きている。面白かった。続きが気になって仕方ない。楽しみに待っています。

 

 Presented by Minai.