Infinity recollection

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ようこそ、フェアリーズ・インへ! (電撃文庫) [感想]

ようこそ、フェアリーズ・インへ! (電撃文庫 お)

 

小河正岳さんの新作。

 

冒険者ラウルは逃げ足が取柄のちょっと抜けた少年。冒険者にあこがれて仕事を探すも、実績の無いラウルを雇ってくれるギルドはない。故に無一文。それでも『フェアリーズ・イン』(妖精の止まり木亭)の女将は、出世払いで宿に泊まらせてくれる。恩返しをしようと仕事を探す毎日だが、ある日、女将が倒れてしまって――。

 

著者の文章は安心して読めます。単純に読みやすいというのもありますが、細かい表現や言葉の選択が美しく上手いですし、好みです。また、今回はこれまでの作品とは違って、硬くなりすぎない緩さが印象的でした。

 

物語は倒れた女将のお願いで、孫娘のミリーを探しに行くことになるのだが、魔法学院の演習で外にでていたミリーを追って、間違えて未踏破ダンジョンに足を踏み入れてしまう展開は良いですね。ましてや、逃げ足と幸運でダンジョンを攻略してしまうのだから驚きだ。

 

基本的にヘタレで逃げ腰なラウルは、情けなくて格好悪いだけれど、やるときはやる男。けれども、格好良く決めたつもりが、詰めが甘くて格好悪い。ラウルの人の良さと不器用さを表している気がします。

 

斜め右から。

 

作中では、ヒロインであるミリーが開発した魔法具が活躍するが、その時ばかりは開発者であるミリーが濃いキャラに変貌。魔法具の説明をこれでもかとまくし立てる、理論、定理、法則と様々な用語が飛び出すが、その場にいる登場人物同様、読み手には何を言っているのか分からない。

 

そんな状況が読んでいて面白かった。ミリーは必死に説明しているので、凄いことは分かるが凄いことしか分からない。そして、説明の終盤には何かと斜め右から、がカットイン。良く分からないけれど笑ってしまう。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.