Infinity recollection

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少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫) [感想]

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

 

川村七竈は周囲が見惚れるほどの美しい少女。七竈の近くには男共が寄ってくるわけだけれども、そんな男を軽蔑し、相手にしない七竈。幼馴染の雪風だけを友達として、鉄道模型を眺める毎日。けれども、大人たちは七竈を放っておいてはくれない。

 

鬱々として、美しい物語。

 

始まりは七竈の母親の視点で始まるので驚かされる。それも、七竈が生まれる前の、生まれる原因となった衝動が描かれていく。男を辻斬りしていく様は、美しくも格好良く、清潔なエロさとでもいうのか、いっそのこと清々しい。

 

随所に著者らしい言葉選びがあって、非常に楽しい。大人に振り回され、少女から大人になろうとしている七竈の揺れ動く心理が丁寧に描かれていくのだが、文章がとにかく綺麗。物語の中に引き込まれてしまいます。

 

序盤やあらすじだけを読むと鬱々として暗いけれども、だからこそ温かさや明るさが際立つというのだろうか。ドロドロと黒い中で生まれてくるものの美しさ。破壊と再生。不思議な感覚を味あわせてくれる。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.