Infinity recollection

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ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー (電撃文庫) [感想]

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー (電撃文庫)

 

第18回電撃小説大賞 銀賞受賞作

 

人々が年収によって管理されている世界で、地下貧民街育ちの主人公は違法パスで中流平民街にやってくるが、盗みに入った屋敷でヒロインに捕まってしまう。地下に戻されると思いきや、見逃してもらう代わりに「ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー」というゲームに参加することに。

 

「ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー」というゲームが面白い。

 

その名の通り、賞金をかけてウィザード役とウォーリアー役、2人1組同士のタッグバトルが繰り広げられるわけだけれど。ウォーリアーはクラスや個別スキルなど、己に対してステータスが振られており、どこかMMORPGのキャラクターを思わせる。単純に、相手を武器で殴って倒すという格好良さがそこにはあって、魅力に繋がっている。

 

逆にウィザードはゲームシステムが魅力だ。ウォーリアーと違い、動き回ってどうこうというわけではないけれど、カードシステムを使った魔法が使えるのがウィザードだ。このカードシステムがMtGを始めとしたTCGの要素を含んでいるので、読んでいてワクワクする。

 

基本属性や唱えられるコストがあるのもそうだけれども、カード名称が”それらしい”ので、作中で登場するカードが欲しくなる。いや、もういっそ絵が見たい。効果も、仲間の能力を上昇させたり、敵を混乱させたり、地形を変えたり、ある範囲内でのランダム効果や、それこそ場を一掃するカードなど、ギミックに逐一心をくすぐられた。

 

奪われるのが嫌なら奪い取れ、けして奪うわけにはいかない、搾取されることが当たり前の世界で、主人公とヒロインが抱える想いは違っているようで本質は同じに映る。育ちが違うことで、ぶつかり合いながらも、相手を尊重しようとする心はあったわけで。

 

そんな二人だからこそ、心を通わせることで共感できたのかもしれない。この辺りは悩んで決断するという青春らしさが出ていた。

 

序盤は説明などでテンポを失っているのが目に付き、読み難い印象を受けたが、二人の仲介役になった美紀が登場する中盤からは失っていたテンポを取り戻す。物語の流れは分かりやすかったので、犯人等は盛り上がりに欠けるけれど、戦いは楽しい。

 

面白かった。ゲームシステムは魅力的なので、今後この世界をどうやって描いていくのかに期待。

 

 Presented by Minai.

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー (電撃文庫)

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー (電撃文庫)