Infinity recollection

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6―ゼクス (電撃文庫) [感想]

6―ゼクス (電撃文庫)

 

不思議な雰囲気を持つ少女と出合ったときから、山本彦馬の周りで人間が発火するという事件が起きるようになり、彦馬は容疑者として警察から疑われてしまう。そんな彼を救ったのは、特例課所属の女刑事、北林花姫。彼女は過去に世間を騒がせたシックスデイ事件の生き残りで――。

 

始まりの6人。

 

物語はホラーの雰囲気を持つミステリー、序盤は淡々と進んでいくけれども描かれる言葉の裏が妙に不安定なので、何も起こっていないのに何故だか不安が拭えない。友達だというクラスメイトから、主人公である彦馬に向けられる悪意が気持ち悪かった。親切心と受け取っている彦馬も凄いけれど、相手も親切心だという台詞を吐くのでそこがどうにも信じ切れなくて、いっそ怖い。

 

彦馬は変に繊細なので、相手の意図しているところは理解しつつも、自分の考えを大切にして行動しているように映った。そこは不器用でいて、強いなと。

 

そんな彼と、シックスデイ事件を生き残り、数奇な人生を歩むことになった始まりの6人の葛藤やら悪意やら熱意が描かれるが、異能力要素を含みながら戦いよりもホラーとミステリーに比重を置いているのは、作品の魅力。誘拐され薬物投与からの人体実験を受けた6人には、世界が壊れているように映るのでしょうね。異能力に目覚めても目覚めなくとも、健全な人生をおくってきた人間とは限りなく異なるのだろうな。

 

面白かった。文章はとても読みやすい。言葉選びも丁寧なので、躓くことなく読んでしまえる。終始、雰囲気が重く、物語に起伏が少ないので退屈に感じる人がいるかもしれませんが。

 

 Presented by Minai.

6―ゼクス (電撃文庫)

6―ゼクス (電撃文庫)