神童機操DT-O phase02 (講談社ラノベ文庫) [感想]
読みやすくなった。
90年代の懐かしくも熱いロボットアニメを彷彿とさせる本作だけれど、実に安定している。唐突にロボット動かすことになり、がむしゃらに敵と戦ったのが一巻だった。二巻ではアルテミスの一員として生活している貞臣が丁寧に描かれることで、彼の周囲や、物語の舞台に世界観などを把握することが出来て、話の流れが美しい。
まさに丁寧かつ安定。
バランスが良かったのは、設定を開示していくタイミング。それは新ヒロインである立梨や教師の槇野など新規組みと、脇役である間坂や恵后などの既存組みを上手く混ぜていくことで、人間関係が複雑にキャラクターの性格と行動原理など、貞臣が見ていないところのでやり取りが非常に興味深く、かつ面白い。ましてや、小出しにしていく情報が的確なので高揚感を維持したまま読めてしまうのは上手いなと。
また、ラブコメとしても強化されたのだが、特に立梨のポテンシャルが計り知れない。貞臣にアタックしまくる立梨は、好き好きオーラ全開でアプローチにいくのに、彼女の自然体が”それ”なので、周囲に対しての嫌味が全くない。
だから、ライバルである恵后と争うことがない。精神面で子供であるというのもあるが、立梨は純粋すぎるほどに純粋で、ラブコメなら嫉妬して相手の女の子のことを邪魔するつもりで仕掛けたことでも、立梨は真正面から言葉通りに受け取るので、奇妙な肩透かしを食らった気分になる。最強のポジティブ思考で悪く言うとアホ、憎めない。それだけで好きなキャラクターになりました。
他にキャラクターでいうと、間坂は悪友ポジションが板についいる。学園生活でしか登場しないが、存在感は凄いし物語上での影響力もかなりのものだ。恵后のいうように、恋愛方面でも強大な敵として立ちふさがることだろう。そして意外にも貞臣の父親が登場したのには驚いた。しかも、何気に世界観を広げてもくれているのだ。この様な細かい演出やら台詞やらが、作品を盛り上げてくれている。
バトルは今回も熱いので、楽しみにしている人はご安心くださいませ。新武器も格好良く使い始めますし、ただ殴りあうだけではなく、相手との誇りを賭けた勝負といいますか。お互いに叫び語り悩み合いながらの信念を貫く戦いが良い。エンターテインメントのバトル+αがそこにある気がしました。
面白かった。次を想像させる物語の作り方がされているので、続きが気になって仕方ない。
Presented by Minai.
- 作者: 幾谷正,御山ロビ,井上真有樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/02
- メディア: 文庫
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