Infinity recollection

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アウター×トップ (メディアワークス文庫) [感想]

アウター×トップ (メディアワークス文庫 か 5-1)

 

過酷で苦痛で、けれど爽快で――。

 

ロードレース。ツール・ド・フランスなど名前は聞いたことくらいはあるし興味もあるのだけれど、地上派でのテレビ放送はしていないし、衛星放送は惜しくも契約の都合で視聴できないために、知識ゼロから読んだのだが、これは面白い。

 

著者がレースのことを丁寧に説明してくれますし、挿入される説明の量とタイミングが絶妙なので気持ちよく読める。何より、ロードレースというスポーツの魅せ方がとても上手い。汗を流して限界ギリギリのところで駆け引きをし、体力が底をつくまで走り続ける。

 

京助が死ぬ気でペダルを回せば、読み手も死ぬ気で物語に食らいつかなければならないと錯覚させるほどに熱い。読んでいて力が入ると共に、汗までかいたのは久しぶり、それほど興奮した。

 

物語では、悠宇との友情に加えて、有季との近くて遠い恋愛模様、元プロレーサーである南と少年たちの関係、初めてのライバルであろう瞬一との関係が描かれるが、全てに先が見えたのでワクワクが止まらない。しかも、人間を描きながらも、スポーツを描くという主軸が隠れていないのは素晴らしい。

 

集団で協力しながらも、あくまで個人競技のスポーツであるロードレース独特の戦術だったり、選手の特性だったりも読み応えがある。繊細で迫力ある描写からは、その場の情景を想像することが出来て心臓が高鳴った。

 

面白かった。是非とも、クラス1でチームとして活躍する彼らの姿を見たい。続刊希望。

 

 Presented by Minai.

アウター×トップ (メディアワークス文庫 か 5-1)

アウター×トップ (メディアワークス文庫 か 5-1)