Infinity recollection

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ソードアート・オンライン〈10〉アリシゼーション・ランニング (電撃文庫) [感想]

ソードアート・オンライン〈10〉アリシゼーション・ランニング (電撃文庫)

 

アンダー・ワールドとは。

 

その疑問にたどり着く切欠をくれるのが、キリトの行方を独自に追うアスナだ。病院に搬送されたはずのキリトが、該当の病院にいないことが分かり、それではどこにいるのかと奔走する。まあ、当の本人は仮想世界の住人となっていたわけだけれど。

 

凄まじかったのは、この仮想世界で生きているAIだ。フラクトライトをコピーすることで生まれた人工知能を超えた人工知能たち。シュミレーションだとしても、それは本物の人類となんら変わらないように映るので、菊岡の計画が判明したときの気持ち悪さといったらなかった。

 

アスナは読み手の立ち位置で顔を青くしていたけれど、まさにそれで嫌悪感が抱かざるを得ない。けれど、実験やらSFの観点から見るととても面白いことをしているし、テーマに好奇心をそそられるのも確か。バランスが良いのは、倫理観を持って反対してくれるキャラクターがいるということ。

 

価値観が同じキャラクターがいることで、物語が読み手と乖離しないので、素直に胸に落ちていく。だから、気持ち悪いことは気持ち悪く、痛いことは痛く、楽しいことは楽しく、読み終わりには爽快感があった。

 

仮想世界のキリトの活躍は抑え目なので、アンダー・ワールドでのお話を期待している人には、少しだけ退屈に映るかもしれないが、それでもソードスキルを発動する姿には高揚感を覚えるのは間違いないですし、上級修剣士を目指すキリトの成長と、その後の物語を想像せずにはいられなかった。

 

面白い。続きも楽しみだ。

 

 Presented by Minai.