Infinity recollection

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大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS) [感想]

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)

 

右翼アイドルが内閣総理大臣を目指す。

 

これまた凄い作品を読ませてくれた。真面目なテーマであるはずの政治をエンターテインメントにする辺りは、著者の持ち味を存分に発揮している。今の日本の政治、経済を憂うなら読んでみるときっと爽快な気分を与えてくれるだろう。

 

キャラクターを作るのが上手い。

 

ヒロインである日鞠が何事にも真剣に取り組んでいく姿を見せてくれるので応援したくなるし、武士然とした言動。たまにみせる女の子らしさなど、キャラクターの造形は上手いですし美しい。イラストの破壊力も抜群です。

 

また、主人公の颯斗も著者の得意な物語の道先案内人なので、その万能感は半端ではなく、性格も大人なので読んでいて安心できる。波風が立たないといえばいいのだろうか、物語には衝撃と驚愕と苦渋が溢れているけれど、主人公は一歩引いたところから俯瞰する視点を持っているので心地よく読める。

 

政治とマスメディア。

 

政治家になるための最短ルートとはどういうものなのだろうか、各々考えるところはあるだろうが、マスメディアを利用するのはその一つと言える。日本だって現実にテレビや新聞を政治に利用している例は多くあるし、アメリカなどはその典型例だろう。

 

マスメディアの中でもテレビの力、プロパガンダといったところを取り扱っていて面白いし、日本のマスメディアのあり方などにも触れられているのは興味深い。作中にて政治家になるために日鞠はアイドルになるが、改めてテレビの力を思い知らされる――と同時に改めてテレビの下らなさを意識した。

 

現実を考えるとありえないことではあるのだけれど、そういうことを言いたいのではないのだろうし、この作品を読むことで少しでも考えが変わったり、政治に対する意識が変わるならいいのかな。

 

面白かった。下巻を楽しみに待ちたい。

 

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大日本サムライガール 1-3巻セット (星海社FICTIONS)

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