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ジェスターゲーム 欲すれば望み、奪え (集英社スーパーダッシュ文庫) [感想]

ジェスターゲーム 欲すれば望み、奪え (集英社スーパーダッシュ文庫)

 

欲望を奪い合い、己の欲望を叶える。

 

著者の新作ということで購入。キャラクターの描き方や台詞のセンスが相変わらず素晴らしい。現代を舞台にちょっと不思議なことが起こる作品になったときには、それが活きる気がします。読みやすいのもそうだけれど、読んでいて心地よい。

 

それらは主人公とヒロインが魅力的だからだろう。

 

主人公はトラブルを見逃せない性格で、様々なことに首を突っ込んでしまう。お節介で優しく正義感に溢れている彼の周りには、自然と人が集まってくる。オタクに不良に警察にヤクザ、全ての人に自然体で応対する心意気が格好良いし、単純に良い奴なのだ。

 

ヒロインにしてもそうで、常識が足りないお嬢様だけれど人一倍に真面目で、ジェスターゲームに対しても己の欲望を叶えることに納得しながらも苦悩している。

 

本作は恋愛要素も強くて、異能力バトルをする割合に主人公とヒロインのイチャイチャが素晴らしい。出会ってから主人公に惹かれていくヒロインが可愛らしいし、その冷静な口調と物腰とは裏腹に思ったことは直球で返してくれるので、好きだと公言してしまうのは読んでいて悶絶。

 

主人公もまんざらではなく、ヒロインのことを意識して逃げるか攻めるかで迷ったりたじろいだりするので、読み手まで恥ずかしくなってくる。ヒロインはヒロインで天然で言っているのか、直球で本気なのか読めないところもあるので、これまた面白い。

 

物語もそんな恋愛要素と異能力バトルを手堅くまとめている印象で、一巻の出来としては申し分ない。家族ものとしても読める辺りは一環している気がする。構成にテンポも素晴らしく、お手本のような出来。加えて著者の持ち味だと思っている掛け合いでも魅せてくれるので、とても魅力的な一冊といって良いだろう。

 

面白かった。続きにも期待しています。

 

 Presented by Minai.

ジェスターゲーム 欲すれば望み、奪え (集英社スーパーダッシュ文庫)

ジェスターゲーム 欲すれば望み、奪え (集英社スーパーダッシュ文庫)