Infinity recollection

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫) [感想]

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫)

 

第4回GA文庫大賞 大賞受賞作

 

この世界観は久しぶりな気がします。ファンタジーよりはゲーム寄りで、けれど流行のMMORPGよりはWizや世界樹に近い世界観。ステータスが設定として存在しているというのが面白いし、何より本来ならゲーム中には存在しないゲームプレイヤーが神様として物語に登場しているのが良い。

 

この神様たちは子供たちであるところの人間やらエルフやら亜人族やらを集めてファミリアを結成し、様々な経済活動を行っているわけだけれど、その理由も天界がつまらないからというのが良い。設定としてはスタンダードではあるけれど、現実から仮想世界にと考えるとこれまた違った角度で読める。

 

ぐぬぬっ、か、可愛いじゃないか。

 

神様の中でもヘスティアは可愛らしいです。世間ではロリ巨乳などと呼ばれている彼女だけれど、大人になろうと背伸びしているが精神は子供っぽいので、その言動が魅力的。ベルはお世辞にも優秀な冒険者ではないのだけれど、彼を溺愛するヘスティアの姿は子供を可愛がるようでいてペットを愛でているようでいて、恋する少女と移り変わっていくのも面白い。

 

物語はタイトルに反して、緩やかにほんわか進んでいくので、読み心地が良い。もちろんモンスターとのバトルはあるので、スタイリッシュな描写もあるのだけれど、全体の流れは主人公ベルの成長物語なので、思わず読み手まで彼のことを温かく見守ってしまう雰囲気がある。

 

この主人公像というのもよく出来ていて、努力して強くなっていく挫折して立ち上がるという過程を描いていくことになるので、応援したくなる。性格も真面目で礼儀正しくお人好しで愛嬌がある、要するに良い奴。神様のために頑張っちゃうような良い子なのだ。

 

それらも含めて、どう表現するのかが正しいのかは分からないけれど、漫画っぽい。本作のイラストレーターをヤスダスズヒトさんが担当していることからも、どこかそう映っていて。読んでいても絵柄に引き込まれることが多くて、違和感もないものだから映像が浮かぶのです。

 

キャラクターたちがわいわい楽しく生きているのを見て、こっちまで楽しくなってしまう作品。面白い。

 

最後に、これは本当に言わせて欲しいのだけれど、タイトルで物凄く損をしている作品だろうと思う。これでは、どうしても薄っぺらい世界観設定を想起させるし、主人公の性格も適当なアホっぽい駄目な奴を想像しやすい。実際には良く出来ているのに勿体無い。

 

 Presented by Minai.

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫)