棺姫のチャイカVI (富士見ファンタジア文庫) [感想]
下巻。
飛空要塞の中でどうなることかと思ったけれど、上手く纏め上げてくるところは流石としかいいようがありませんね。チャイカを救出するためにトールとジレット隊の二人と手を組んでみたり、殺人中毒さんととのバトルも盛り上げ方が考えられていて美しい。――そしてアカリはアカリ。
アカリのブラコンぶりはいつも通りでしたし、ビックリするくらいフレドリカも変わらない。シリアスな展開が続いているだけに、この二人の存在が貴重です。コミカルさを演出してくれますし、かといって場を壊しません。
しかし、フレドリカは高性能過ぎますね。前々から言っている気はするけれど、彼女は殺しても死なない雰囲気をもっているし、端的に言っても最強なので、安心してみていられる。性格も明るく子供っぽく設定されているのは、親しみやすさというか、最強でもお茶目さのおかげでそれを感じさせないようにしているのが良い。
さて、物語は蒼チャイカが登場してチャイカという存在そのものへ更に深く切れ込んでいるけれど。合わせて、殺人中毒さんが感じている生と死とは、自分が生きていることが理解できない信じられないという哲学的な話が、チャイカたちの謎にも繋がっている。
チャイカが複数存在したことで、自らが本物のチャイカだとは言い切れなくなり、自分はチャイカなのかチャイカではないのか。自分はチャイカだと思っているけれど、それは本当か。チャイカではないとしたら何なのか。自らの存在が証明できないということは、生きているのも死んでいるのも曖昧ということになります。それは果たして生きていると言えるのかといった具合です。
引きでジレット隊の面々が凄いことになっていますが、これはようするにそういうことなのですかね。チャイカとは――少し見えてきた気がします。
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- 作者: 榊一郎,なまにくATK
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2013/01/19
- メディア: 文庫
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