Infinity recollection

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マグダラで眠れ (3) (電撃文庫) [感想]

マグダラで眠れ (3) (電撃文庫)

 

本当に素直じゃない。

 

クースラは相変わらず意地っ張りですね。大人なようでいて考え方などは子供なので、どうしても自分からお願いするだとかは出来ないのですよね。プライドとでもいうものでしょうか、恥ずかしいと考えているからなのか、気になっているのに言い出せなかったりする。

 

それでいて、これまで見守ってきた相手に逆に見守られていたと分かると拗ねてしまう。そんなクースラに対して、私が好きなら私を選んでと遠回りに発言してしまったりするフェネシスも凄く可愛らしいですが、クースラも大概に可愛らしい。

 

お互いに相手の扱い方が分かってきているのがまた面白くて、このカップル何やってんのそうじゃないでしょと読んでいてヤキモキさせられるのが楽しい。

 

錬金術やら中世を模したファンタジー世界の有り様は興味深く、引き込まれるけれども、やはり著者の持ち味は人間関係の妙だ。クースラとカルドスの心理戦と舌戦も距離感が上手いですし、ウェランドの格好良さも説明しないことの上手さがある。

 

物語はウェランドの良さを引き出していたけれど、彼自身は詳しく語ることをしないし、飄々としていつもそこにいる。そこにいるようでいて、ふらっと消えて物語に頭から尻尾まで登場しっぱなしというわけでもないのに存在感があり、所謂良いところを持っていく。上手い。

 

誰もが世界に溶け込んでいて、本筋を邪魔しないところは流石だなと。文章もそうだけれど、展開の仕方が美しくも見事なので、読み心地は良いしよく出来ているなと関心するのです。

 

 Presented by Minai.