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召喚主は家出猫 (1)喚ばれてみれば最前線 (角川スニーカー文庫) [感想]

召喚主は家出猫  (1)喚ばれてみれば最前線 (角川スニーカー文庫)

 

ブラック魔法発動。

 

異世界に召喚された主人公が、サバイバル技術と現代知識を応用して、思わぬ方法で敵に立ち向かう。想像していたよりもコミカルで明るく、ファンタジー世界での魔法の捉え方が面白かった。というのは、RPGなどでよくある炎魔法とか氷魔法もあるのだけれど、計算魔法やら醸造魔法など生活に使う魔法があること。

 

火を起こすのに炎魔法を使うから、煮炊きに使う設備がないとかは他作品でも見たことがあるが、ここまで生活に密着した魔法はあまり見たことがない。そういう意味でも、これからどんな魔法が登場するのかが楽しめる作品ですし、それを楽しく読ませる舞台があるのが魅力です。

 

魔法があるなら何でもありだけれど、何でもアリの方向性が面白い。

 

著者の他作品でも戦記モノがあったりするけれど、本作も戦記っぽい戦争などは描かれていく。ここに主人公の現代人らしい知識と生活魔法が加わることで、まさかの方法で戦いに対抗していくのは驚かされる。

 

何よりよく出来ているのは、便利すぎる魔法に対して対抗呪文と、鉄には魔法が効かないなど、そもそも魔法を封じる手段が確立されていること。作中のゲームバランスを整えていますし、今後は、鉄や砂鉄の武器と兵器が登場することで、更新されていく未来が見えるのでその辺りも楽しみ。

 

――しかし、強制労働魔法まであるとは、怖いですね。現実もいい加減にサービス残業とか、限界までやらせれば限界じゃなくなるとか、ブラック企業などあるけれど、ファンタジー世界にもあったなんて……。今は法律で禁止されているらしいけれど、労働基準法然り守られているのかは怪しいですね。

 

変なリアリティと現実感も本作の魅力。

 

 Presented by Minai.