Infinity recollection

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斉藤アリスは有害です。 (2) ~あなたが未来の魔王です~ (電撃文庫) [感想]

斉藤アリスは有害です。 (2) ~あなたが未来の魔王です~ (電撃文庫)

 

誰しもが思ったであろうまさかの続刊。

 

綺麗に一巻で完結していた物語だっただけに、驚きもあり嬉しくもあり心配もしつつという、何とも複雑な心境で読んだのだけれど、著者の文章はやはり心地良い。とても読みやすい。

 

丘ペンギンことアリス秀明のゆるい掛け合い、町内の方々のちょっとズレているコミカルな言動、本当にキャラクターが魅力的なので思わず笑ってしまう。ラブコメにしても、秀明の相変わらずな朴念仁ぶりが微笑ましく、アリスを応援したくなる構図になるのが楽しい。ラヴ先生もぶっとんでました。

 

――しかし、キャラクターで言うなら森本の死亡フラグの立て方は、まさに脇役と悪友の鏡。その背中で語る姿が眩しすぎて格好良い。いや、本当に良い奴です、森元。

 

確かに一巻の完成度から比べてしまうと蛇足的な側面が強くなってしまうのだけれど、タイムトラベルや未来人のSF設定の捉え方というか、あくまでリアリストに学生として向き合う秀明が良いのだ。

 

ドロシーという少女の過去が判明したときに、それは残酷で気持ち悪くて、怒りすら覚えるようなことなのだけれど、難しいことは分からないと割り切って、秀明は秀明の領分で解決する。自分が変える自分と変える、変われば世界が変わる。未来改変の視点を変えてくれた。

 

あとがきにあるようにドロシーがどうなったのかは明記されない。未来は変えられないと分かっている秀明だからこその答えだったのかもしれません。

 

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