Infinity recollection

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ソードアート・オンライン (13) アリシゼーション・ディバイディング (電撃文庫) [感想]

ソードアート・オンライン (13) アリシゼーション・ディバイディング (電撃文庫)

 

これ以上君と話すことはないよ。戦おう……。

 

分かっていたけれどついにこのときが来てしまいました。これまで旅をしてきて、楽しいときも苦しいときも目標に向かって歩んできたユージオとキリトですが、圧倒的な力の前に想いが歪められる。

 

離れてはじめて分かることがある。

 

思えば、お互いに相手のことを尊敬している二人でしたし、だからこそ協力してアリスを助け出すために頑張れていた。でもそれはお互いの劣等感や後ろめたさも内包していて、親友で仲間でライバルだからこその感情でした。

 

キリトは自分よりユージオが優れていると確信しているし、たまたま知識があったから教えるような立場になっただけだと考えている。黒の剣士キリトじゃない自分を見てくれる親友という存在が嬉しかったとはいうけれど、同時に技術を水のように習得していくユージオに恐れも抱いている。また、本当の目的は他にあることを隠しながら冒険している、嘘をついていることへの後ろめたさが離れない。

 

ユージオにしても、キリトと自分を比べたときの力の差を実感していて、いつも黒い背中に守られている自分という劣等感がある。まして、アリスを救うという考えにいたってもキリトがいなければ行動できなかったことだというのは、恐怖だ。

 

お互いが一人になって考えることで、もう一人の大きさを知るという、キリトとユージオらしい熱い展開は読み応えが合った。騎士長ベルクーリとの戦い、アリスとキリトの共同戦線も熱かったのですが、裏側というか内面を見せてくるので、アドミニストレータにかどわかされて――という展開に至るまでが上手い。

 

また、連戦に次ぐ連戦で物語はシリアスな雰囲気を継続しているのだけれど、キリトがアリスとの邂逅で存外にコミカルを演出してくるものだから、バランスが素晴らしい。やはりキリトさんには女の子と一緒にいてもらわなければいけないのかしら。

 

アリスの素直になれない女の子というもの堂に入っているので、なんとも可愛らしいのですよね。厳しいのに、ふとしたところで可愛らしさを出すものだから、その落差ったら反則だ。極限の状況下ですらヒロイン攻略を怠らないキリトさんには、思わずアイゼン砕けろと念じてしまうのはしかたないでしょう。

 

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