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クラッキング・ウィザード ~鋭奪ノ魔人と魔剣の少女 (このライトノベルがすごい! 文庫) [感想]

クラッキング・ウィザード ~鋭奪ノ魔人と魔剣の少女 (このライトノベルがすごい! 文庫)

 

現代の情報技術やら何やらが魔法技術として運用されている世界で、主人公たちハッカーの活躍が描かれていく。

 

世界観的にはファンタジーなのだけれど、魔法がインターネットなどと同じような感覚で使われているので、近未来SF的な雰囲気もかもし出している。主人公たちがアバターを使って仕事やコミュニケーションをとっている辺りもそれに近いか。

 

仮想世界と現実世界。

 

本作は二つの世界で視点を変えながら展開される。主人公は仮想世界を主に主戦場としているので、自らのアバターを使って障壁を破ったり、敵を倒したりします。ヒロインは現実世界担当で実際に主人公が解除したセキュリティーから建物に侵入したり戦ったり。両面から楽しませてくれるのは強みだ。

 

ただ、世界観や設定についてはよく出来ている印象を受けるが、それを使うキャラクターが設定に使われている印象を受けた。これは感覚的ではあるのだけれど、視点の切り替えと場面展開が多いのに、繋ぎの部分で粗さが目立つものだからチグハグに読めてしまう。

 

キャラクターがコミカルである部分にも違和感を受けて。ここがコミカルであることで、作品を軽快に読むことが出来、重くなりすぎない利点はあるのだけれど、どうにもキャラクターの目的や現在に至った理由まで軽く弱く見えてしまい、結果として説得力が薄れているような……。

 

台詞一つの言葉の選択についても、コミカルさの演出が浮いて見えて馴染めなかったというのは、相性なのかもしれませんね。もう少し、展開を絞れば綺麗にまとまったと思うのだけれど、キャラクターを動かしすぎていて何をしたいのか読んでいて良く分からなかった。

 

 Presented by Minai.