Infinity recollection

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なぎなた男子!! (メディアワークス文庫) [感想]

なぎなた男子!! (メディアワークス文庫)

 

天沢夏月先生の新作です。この人の描いてくる青春はいつも王道を行っていて、心を抉ってくる。部活がテーマなので、程度が浅い深いはあれど、誰もが一度は経験したことがあるであろうことを問いかけてくる。

 

努力とか友情とか恋愛とか葛藤とか、それこそ恥ずかしいなと思うことを描いてくれるし、だからこそ分かりやすくて良いなと思える。王道をネガティブにすると、使い古されたってことになるのだろうが、それで結構。面白いものは面白い。

 

サマーランサーで参考にしたという「なぎなた」を本格的に作品にしたことで、競技としての面白さやスポーツとしての幅みたいなものを知ることが出来て有意義でした。これまでとは違って偶像劇のような描き方も、一人一人の精神面を丁寧に伝えてくれるので、仲間全員が主役。

 

男子なぎなた部と女子なぎなた部の恋愛模様は、照れくさくも甘酸っぱい。好きなのか嫌いなのか良く分からない、恋ってなんだろう。あの子の優しさの意図は何だろうと考える。けれど意図なんてものは無くて、翔と結衣のやり取り以外にも恋がちりばめられているのが良い。

 

高校生たちが持っているエネルギーや熱、彼ら彼女ら自身もどうしていいのか分からない感情の渦を、様々な葛藤という形で描いてくれました。動いた後は素直に先に進めるもの、曲がり角や立ち止まったときに再度動き出す力こそ強さですね。

 

なぎなた男子!! (メディアワークス文庫)

なぎなた男子!! (メディアワークス文庫)