Infinity recollection

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アオイハルノスベテ (ファミ通文庫) [感想]

アオイハルノスベテ (ファミ通文庫)

 

庵田定夏さんの新作ですね。ココロコネクトが完結してからちょっと経ちますが、今度も学園モノ。それも、少し不思議で強烈に心を抉ってくる青春を描いているとこまで同じ。安心して読めますね。

 

主人公は過去の記憶を持っているわけだけれど、それで未来を変更していくというわけではなく、むしろ大きな流れしか大まかに覚えていないので、細かい操作が出来るわけではないというのが按配として良い。物語にアクセントを加えてくれるのはもちろんだけれど、がむしゃらに頑張る主人公を受け入れやすいように思う。

 

リアルな高校生の感覚を残しつつ、でも死ぬ気で頑張らないといけない理由を与えて訴えてくるのには、変に納得している自分がいた。唐突に頑張り始めるよりは、これくらいエッジがきいたファンタジーな理由で死ぬ気になってもいいと思う。十二分に青春してますしね。

 

空気という見えない魔物と戦う青春。

 

スクールカーストまではいかないまでも、それに近いクラスの雰囲気をぶっ壊すのは爽快でしたね。最近読んだから、の話になってしまうが、MF文庫さんのライフアライブとは違って脇役まで名前がありキャラクターが見えてくるので、空気が形成されたことで手のひらを返していくクラスメイトたちに強い嫌悪感は抱かなかった。誰の言葉なのか分かると言葉の強さが緩和されるので、そういう意味でも細かいところまで配慮が行き届いていて綺麗に文字が並んでいる。

 

それは逆に予定調和のようなにも受け止められてしまうのかな。ラスボスになるであろう女の子が謝ってくるとか、最後は少数派が主人公以外わりとリア充していたり、至れり尽くせりですし、少しそこはあるのかな。でも、それら含めて物語の構成をシリーズ前提で丁寧に作っているのが伝わってきました。面白かった。

 

そして相変わらずなプロレスネタは流石でした。