Infinity recollection

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クロス×レガリア 王威の決戦 (角川スニーカー文庫) [感想]

クロス×レガリア 王威の決戦 (角川スニーカー文庫)

 

最終巻です。あとがきにあるように、残り2巻のところを1巻にまとめられたようですが、内容を詰め込んだわりに駆け足になりすぎることもなく、エピソードを上手いように展開させていて流石でした。むしろ、展開全てに見せ場がやってくるので、高揚感を持続させたままラストまで突き進めて単純に読んでいて楽しかったです。

 

言うならまさにジェットコースター(使い古された表現ですが)で、それも上から吊るされるタイプのスタイリッシュジェットコースターでしょうかね。とにかく格好良い。バトル漫画で強敵を倒すだとかピンチを乗り越えることで、爽快感だとか満足感を得られると思うのだけれど、すぐに次の強敵が現れますよね。それを何度も繰り返すような感じでしょうか。もちろん、一度は敵だった奴が仲間になるみたいな熱い展開もあり、内容が濃密です。

 

ジンなどがそれでしょう。馳郎との友情を感じさせる台詞に、地で「ここは俺に任せて先に行け」を出来る豪胆さと絶対に死亡フラグなんて言わせないし思わせない期待感に満ちていました。王道に対する覇道とはまさにそれで、建前じゃない物事の確信に噛み付いていく姿は大好きでした。

 

物語の終局には大掛かりな交渉に持ち込んだ馳郎ですが、白翁としても彼としても生き様を貫き通した形となって納得でした。生き残りをかけた戦争を演じても、敵との対話と共存の道を諦めない。誰でも助ける1000円ボディガードは、全ての人たちの幸せの為に戦い、最大公約数の幸せだと言われてもそれを目指す。枠から外れた人たちはジンが何とかしてくれるという確信を持っているから。アフターエピソードなどは感慨深いですね。

 

最後まで楽しませてもらったシリーズでした。お疲れ様でした。

次の作品にも期待しております。