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Infinity recollection

ライトノベルを中心に感想を載せているサイト。リンク+アンリンクフリー。

THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ! 感想みたいなもの

THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ! (完全生産限定版) [Blu-ray]

 

映画アイドルマスターを一通り見終わりました。特典になっていたムック本を読み込んだり、舞台挨拶と特典映像にシャイニーフェスタを見たりして、本編に辿り着くまでに8時間ほどかかりました。豪華ですね。

 

映画では全体的にテレビアニメシリーズを踏襲している。テレビ版前半での765プロのライブが決まって練習して、でも上手く歌えないし踊れないしで壁にぶつかっていく姿があったのだけれど、映画では同じようにミリオンのダンサーチームが上手く踊れなくて壁にぶつかる。テレビ版では足手纏いになりたくないから雪歩が諦めそうになるけれど、それでも皆の力で乗り越えていった。当日のライブだって竜宮小町がトラブルで遅れてしまったのを皆の力で乗り越えていく。映画版ではアイドルとしての実力の差を見せ付けられて、同じステージに立っていいのか自分は上手くないし迷惑にならないかとミリオンの面々が葛藤する。そんなアニメアイドルマスターをもう一度、映画として描いていくんだというスタンスが見て取れて嬉しくなりました。

 

楽しい夏合宿と青春。

 

合宿パートでは時間の経過を丁寧に描いていて、映りこむパーツが合宿を表現していましたし、朝起きて春香と千早がランニングして――とか昼は練習しているのだけれど、夜はライブの会議をしていたり、練習してご飯食べて遊んでの青春を詰め込んでいました。方やラムネ色青春にあわせて時間経過を夏合宿の面白さを濃密に描いたりもしている。本来は合宿だけでアニメに出来そうだけれどそこはやらないしそうじゃない。何故なら、合宿が本筋ではないから(物量的にも尺的にも無理だけれど)。それでも描いてくれているところが嬉しいですよね。映画としては練習だけ描けば話は繋がるし、時間経過だって練習だけでいいのです。だけど、練習だけの合宿じゃなく、遊んだりもしちゃうのは、まさに765プロで、らしさが出ています。――そんな”らしさ”と”楽しさ”を描いて、一転してプロデューサーのハリウッド研修を持ち出す。ここから一気にシリアスムードになりました。皆が詰め寄っていく中、春香とか千早とか美希とかは動かないんだよね。この辺りは色々なところで話されていますが、反応の違いは成長なのだろうしシリーズ通しての立ち位置の違いなのかな。美希と伊織は俯いてるのだけれど、嫌だけど受け止めてるのだよね。プライドというか自分を持っている二人の反応だ。

 

シリアスを描く、彩度が落ちる、雨が降る練習風景。

 

志保が春香に噛み付くシーンでは千早がアップになるカットが印象的で、昔の千早をそこに見ているような気持ちにさせられる。千早も仲間に頼らず一人で生きていていたし、歌こそ全てだという生き方からは、志保の意見が人一倍分かるはず。だけれど、口を挟むようなことはしない。あくまでリーダーは春香だし、千早は春香を横目で見るだけだ。そこには成長した千早の姿があって、20話の約束から今の千早があるし、だからこそ皆を見守るような立ち位置にいるのだよね。そして伊織の「それは言って欲しくない言葉だわ」という台詞。映画を通して終始お節介な伊織が描かれ続けるわけだけれど、皆が言えないことを言うのは、人一倍アイドルとしての自分にプライドを持っているから。765プロの皆が大好きだから、自分の気持ちに確信をもった言動が出来ることが素直に格好良いよね。


春香が化粧室に入った先に美希が鏡を見ているというカット。美希は映画を通してもそうだけれど、テレビアニメシリーズから方向性が一環していて、自分を持っている。「美希は美希だよ」が表すようにぶれない。私の行く先は最初からもう決まってると言われているよう。美希はプロデューサーのことが好きでアイドルの自分が好きで、仕事が好き。テレビ版終盤では美希が「春香はどうしたいの?」と問いかけるわけだけれど、春香は「どうしたいのかな?」と自問自答して逃げてしまう。最終的には戻ってきてニューイヤーライブが成功するわけだけれど、美希と春香のやりとりだけはそこから進んでいないし終わっていないのだよね。。映画版アニメアイドルマスターとして、テレビ版の続きを演じているわけだ。美希は誰よりも先に進んでいるアイドルで、合宿でのダンスにしてもハリウッド映画出演にしても、全てにおいて突出している女の子。そんな美希でも、765プロのリーダーには選ばれなかった。選ばれたのは春香。誰よりも先に進んでいるのに、ハリウッド行きよりはリーダーになりたかった。「美希は春香じゃないから」と突っぱねているようにも見えるけれど、美希は春香に自信を持って欲しかったはずだし、春香なら出来ると思っている。春香には春香の良さがあって、変わる部分と変わらない部分があって、春香の意見を聞きたかった。間違っていたり、足りなかったりしたら、美希は助けてくれたはず。そんな心の内側が垣間見える良いシーンですね。他にも、美希の表情アップのカットが様々含まれていて、先述の千早のカット云々の部分でもそう。だから映画アイドルマスターは春香を大切に描くと同時に、やはり美希も大切に描いている。

 

それぞれの葛藤と前に進むための力。

 

春香と千早が二人で会話するシーンや、春香と美希の化粧室でのシーン。映画版は特にそうなのだけれど、窓やら鏡に映りこむ姿が印象的で、同時にとても映画的。意図的に鏡を見つめるとか、窓に反射する表情とかが多いのが特徴ですよね。作画量が増えるのでテレビ版ではやらない(出来ない)部分だと思うが、映画だからこそ見せてくれる。それが効果的だったのは 可奈ちゃんから電話がかかってくるシーンだろう。説得しようと頑張るけれど上手くいかなくて、春香は思わず立ち上がって見つめた窓に映る自分と、無常にも切られてしまう電話。BGMが「relations」で心にグサリときますし、窓に映りこむ春香の頬から雨粒の涙が流れ落ちていく演出は彼女の内面を表現しているよう。音楽も映像も演技も素晴らしいですね。

 

アリーナの下見のシーンの絵は一番好きなところで、一人一人の表情が綺麗ですし、一気に絵の彩度が上がるのですよね。舞台に上がっての春香の語りは胸を打つものがる。「天海春香だから」から伝わるように、皆がいての自分だし、誰が欠けても今の春香じゃなくて、だから皆で一歩を進みたかった。甘いといわれても、それが天海春香なのだ。名前を一人一人読んで、言葉をかけて、各々の表情が印象的。特に伏し目がちに片手を上げる美希は強烈で、春香には適わないなとでも言いたげ。皆が涙目に春香に駆け寄る中、こっちは号泣で大変でした。泣かせるんじゃねーよと。映画館で見たときには隣に人がいるから泣くのもどうかと思ったけれど、よく周囲に気を配ってみれば皆泣いているから泣いちゃったじゃないのよ。このシーンも春香をバックから切り取って泣き顔は見せないところが良いですね。

 

最後は圧巻のライブパフォーマンス。5分以上にわたって歌って踊るアニメーションをはじめて見ましたし、凄さに圧倒されました。確かに引きのカットで踊っているのはCGアニメで手書きアニメではないのだけれど、潔いなと素直に思います。引きで描くキャラクターは結局表情は見えないし絵だって潰れてしまうのが一般的だろうし、そこに労力を使うならアップになる画面に全力を注ごうというのは合理的だ。背景は昨今CGで作成されていることが多いですし、つまるところ引き画面は一瞬だけフルCGアニメになる。だからこそカメラの配置は自由自在だし、動きのある演出が出来る。あそこまで引きで踊ってキャラクターがアップになって移動してカメラワーク含めて動いている絵は見たことがなかったし、迫力があった。手書きのダンスパートも素晴らしくて、キャラクターがアップのカットは全て手書きで踊っているわけだから、見ていて息が止まりそうになると同時にアニメーターさんを心配した。それくらいに強烈で鮮烈的だった。

 

語り出したら止まらないアイマス。テレビシリーズを見ていなくても楽しめる(見ているにこしたことはない)構成になっていますので、是非見ていない方は見て欲しい。

 

その他思ったこと――

 

おそらく多くの人が思ったと思うのだけれど、橋で追いつくシーンで川に飛び込むんじゃないかと心配でした(映画館で見たときね)。冷静に考えればそんなバイオレンスな展開するわけないのだけれど、つい考えちゃいました。