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「子供と大人だったら可愛い方がいい!」アニメであれこれ - その2

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外見年齢が下がったターニングポイントとして挙がってきたのは、いわゆる日常系アニメが売れ始めた頃じゃないかという意見がありました(2003~2007年)。「あずまんが大王」「苺ましまろ」「かしまし 〜ガール・ミーツ・ガール〜」「ひだまりスケッチ」みたいな系譜です。基本的に現実に沿っていて、風刺要素もなく、ラブコメもしない日常を描く萌アニメ。他にも切欠に思えるのは(少し違うかもしれませんが)、シャフト製作「月詠 -MOON PHASE-」などは大人と子供を主役にそえていて、ヒロインが子供というのが新鮮だった記憶があります。同じく「ぱにぽに」なども、コミカルアニメであるのでデフォルメの範疇かもしれませんがレベッカなど印象的。

 

そして丁度、アニメというものが深夜アニメに移行し始めた時期だと思います。これまで朝アニメは幼稚園から小学生から本当に子供のためのアニメで、夕方アニメは中学生まで、深夜アニメは大人のアニメみたいな流れが存在していたのが、朝と夕方のアニメがなくなり深夜アニメに移行したことで各々の住み分け、一定の隔たりが無くなりました。それでいて放映されるアニメの本数はシーズンごとに増えていきましたから、結果として深夜アニメの枠が飽和してしまった。”深夜アニメは大人アニメ”の様な概念が時代遅れの意味を成さない希薄な流れになり、飽和した大人アニメの隙間を縫うように朝や夕方のジャンルをマイナーチェンジして深夜帯で放映することで、子供っぽいキャラクターが増えたのではないか。加えて、世代がまさにそうだと思うのだけれど、社会全体の流れとして精神年齢が子供っぽくなりました。感情移入するという意味でも現実の問題を想起させないような皆の理想とする世界を描きたい関係で、ティーンを描かざるを得ないからこそ子供と大人の中間になるようなキャラクターが求められるようになった。結果として外見年齢も徐々に下がっていったのではないでしょうか。

 

京都アニメーション製作作品で比較しても2006年が「涼宮ハルヒの憂鬱」ですから、第一期の絵柄でいえばまだキャラクターの書き込みが多くて線がシャープでした。これが第二期(2009年)になると、けいおんっぽいと言われる絵柄になる。この間に何があったのかと言われると、「らき☆すた」「CLANNAD」「けいおん!」という流れです。ここで毎回のように話に出るのは「涼宮ハルヒの憂鬱ってやっぱり凄かったよね」ということ。あそこまで大ヒットしていたアニメというと当時はジブリ以外ではあまり記憶にない(エヴァンゲリオンはちょっと世代が違いました。)。これにはインターネットの力が背景にあったように感じます。当時、YouTubeなどの動画配信・共有サイトが革新的に広まっており、パソコンで手軽に動画を共有して意見を言えるというのが単純に最先端で面白かった。そこに「涼宮ハルヒの憂鬱」という作品が持つメタ要素、キャラクターが踊るという強烈なエンディング映像、圧倒的に美しい作画が相まってネットを通じて爆発的に拡散しました。一時期、皆があの踊りをやっていたのではないでしょうか。また、涼宮ハルヒの憂鬱」はアイドル声優という言葉を明確にした作品だとも感じていて、ヒロイン涼宮ハルヒを演じた平野綾はほぼ無名の声優さんだったのに、作品で一気に名前が売れました(キディ・グレイドは懐かしいけれど)。演じている声優さんが高校生というのにも衝撃的と親近感を覚えて、凄い演技力だなと誰もが口を揃えていた記憶がある。その後のアニメ作品では名前を見かけないことがないほどで、何より声優さんなのにも関わらずビジュアル面でもアイドルらしかった。彼女の歌ったCDも売れていましたね。この時期、J-Popは既に売れなくなっていて、だからこそ「魔法先生ネギま!」のキャラソンや「魔法少女リリカルなのは」「魔法少女リリカルなのはA's」とオリコンで快挙を作っていく流れになるのだけれど、アニメ主題歌を声優さんが個人名義で歌うというのもこの頃からスタンダードになっていたったのではないでしょうか。そういった意味を複合して、様々なことを革新的に変化させてしまった作品としての「涼宮ハルヒの憂鬱ってやっぱり凄かったよね」なのですよね。

 

――話が逸れた気がするので元に戻しましょう。では2006~2009年の間にあったことと言えば、テレビ放送が地上波デジタル放送に完全移行しました。画面アスペクト比も4:3から16:9に置き換わり、より大きな画面で映像作品が楽しめるようになりました。次は「地デジ化がアニメに与えた影響はあるよね」から話が出たことを書きます。

 

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SHIROBAKO 第1巻 (初回生産限定版) [Blu-ray]

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