Infinity recollection

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ソードアート・オンライン プログレッシブ (3) (電撃文庫) [感想]

ソードアート・オンライン プログレッシブ (3) (電撃文庫)

 

プログレッシブも長いなと思っていたのだけれど、まだ3巻だったのですね。2巻の発売が1年前だからこそ長いと感じているのかもしれません。そんな本作は今回もエルフキャンペーンクエストを継続しておりますので、アインクラッド攻略よりもテーマに沿ったゲーム攻略、クエスト攻略を主軸に構成されています。だからこそ、ほどよいまったり感と表現しましょうか、ゆるゆるした空気感があるのがとても好きです。誰もがデスゲームの中にいることは承知しているけれど、それでも世界に慣れ初めていて恐怖や不安が和らいでいるのが伝わってきて素直に良かったと思えた。いつかキリトが言っていたが、こんな魅力的なVR世界があるのに楽しめないのは不幸でしかない。だからこそ、アインクラッドの住人たち全員ではないにしても自覚している自覚していない抜きにして楽しめている部分を描いてくるのは大切なのかなと。また、あとがきで語られる通り、アインクラッドでは5層や10層のように区切りの良い階層では強敵が現れるのが常という設定が本筋のSAO1巻でも語られていたと思いますが、次はその5層。否応がなしに酷い戦闘となることは目に見えていますから、一息ついておくには4層のここしかない。5層の緊張感の演出は既に始まっているわけですから、そういう意味では考えられた構成ですし、自然とやってくれる作者の気配りは嬉しいですね。(そう言うと4巻のハードルがかなり上がってしまう気がしますが。)

 

水に囲まれた都はヴェネツィアを彷彿とさせる。エリアテーマが「水路」であるように、ゴンドラを利用して進む街中の風景は美しいの一言ですし、周囲を断崖に囲まれたマップで雪が舞う霧のなか突如現れる城など北欧の風景を想像させてさぞや綺麗なのだろうなと単純に楽しそう。クエストについても自分だけのゴンドラを作成するために素材集めをするMMORPGらしい展開が実にゲーム的で、やりこみ要素としてのエリアボスが存在するなど物語の中に散りばめられているギミックが読んでいてもワクワク感を失わせない。 プログレッシブの意味も果たしているけれど、独立した一冊して見てもよく出来ているし丁寧さが読んでいても分かるのるので心地よく気持ちよく読めました。