Infinity recollection

ライトノベルを中心に感想を載せているサイト。リンク+アンリンクフリー。

シリアス

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫) [感想]

何度鳥肌が立ったかわからない。 レヴァームと天ツ上の戦争が描かれていくのだけれども、開戦したときは優勢だった天ツ上が、戦いが長引くごとに劣勢になっていく。それでもパイロットとして戦闘機に乗り続ける千々石の姿に心打たれた。 国の豊かさから、生…

神様のメモ帳 8 (電撃文庫) [感想]

蘇るエンジェル・フィックス。 序盤の話のまとめ具合から短編集かと思っていたら、あれよあれよと話が続いていくのは面白い感覚だった。それぞれの出来事は独立もしているのだけれど、根元では繋がっている。自然な繋がりで違和感無く読ませる文章は流石。 …

アトリウムの恋人 2 (電撃文庫) [感想]

東京をあきらめない。 現実の東京を舞台に、魔王を倒すゲーム「東京スフィア」が開催される。主人公たちもパーティーを組んでこれに参加するのだが、徐々に現実と仮想の境界が分からなくなっていく。 ゲーム参加者は予めランダムで職業が割り振られる。職業…

烙印の紋章 9 (電撃文庫) [感想]

ギル・メフィウスとして戻ってきたオルバ。 物語は西方からメフィウスへと舞台が移るわけだけれど、オルバが得てきたものとはなんだったのか。自らのために戦ってきたオルバが、改めて皇太子として周りを背負い込んで戦う決意を固める。そこで恐怖するオルバ…

少女不十分 (講談社ノベルス) [感想]

不十分な少女と作家志望の大学生のお話。 今は作家をやっているが、自分が作家志望の大学生だったころを回想するように物語は進んでいく。そんな設定なので最初は著者が主人公になっているということなのかな、と思ったのだけれど、どうもそういうわけでもな…

丘ルトロジック3 女郎花萩のオラトリオ (角川スニーカー文庫) [感想]

あれ、蜂須さんカッコイイ。 変態しかいないのは相変わらずなわけだけれども、蜂須が格好良いのは意外でした。今までマゾという印象しかなかったので、そんな面もあるのかと。誰よりも人に嫌いになって欲しくて、誰よりも人に優しい。美少女ゲームを語る蜂須…

六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫) [感想]

山形石雄さんの新作。 魔神が目覚めるとき、運命の神は六人の勇者を選び出し、世界を救う力を授ける。力を授けられた勇者たちは「六花の勇者」と呼ばれ、身体のどこかに勇者の証である紋章が浮かび上がるのだ。魔神復活を阻止するために、約束の地へ赴く勇者…

はるかかなたの年代記 3 夜魔が踊る (集英社スーパーダッシュ文庫) [感想]

――これは面白かった。 面白いのもそうなのだが、引きが絶妙なので続きが気になって仕方がない。例によってあらすじを読まないで読み始めたのだが、バカンスで海水浴に来ていることからハーレムラブコメ展開メインかと思いきや、全然そんなことはなかった。 …

9S(ナインエス)〈6〉 (電撃文庫) [感想]

ADEM編、中巻。 核ミサイルが無効化されたが由宇は連れ去られた。闘真は由宇を助け出すために、現状の打開の策を探るが上手く行かない。そして、勇次郎が姿を現す。 そうは言っても今回はあまり進展がない。細々とした語られていなかった部分が語られる程度…

消閑の挑戦者〈2〉永遠と変化の小箱 (角川スニーカー文庫) [感想]

「ルール・オブ・ザ・ルール」終了後。 人類の頂点である裕杜を倒したのは誰か――。天才が開催したゲームの後、世界はそんな話題で持ちきり。憶測が数多く流れる中、彼を倒した鈴藤小槙はとある人物から灰火秋島に招待されるのだが……、ここでもまた事件が起こ…

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫) [感想]

海野藻屑のバラバラ遺体が発見された。 衝撃の書き出しから始まる物語は、けれども澄み切っていて明るかった。最終的に海野藻屑が死んでしまうことが分かっているにもかかわらず、暗くなりすぎない。登場人物たちの感情が伝わってくる文章は、読み手を強烈に…

とある飛空士への夜想曲 上 (ガガガ文庫) [感想]

とある飛空士への追憶の後日譚。 レヴァーム皇国軍の飛空士である海猫のライバル、ビーグル。天ツ上海軍の撃墜王である千々石武夫を主人公に、中央海戦争の顛末が描かれる。一度は海猫に敗れたビーグルだけれど、もう一度戦うために戦場を翔ける。 物語りは…

脱兎リベンジ (ガガガ文庫) [感想]

第5回小学館ライトノベル大賞 ガガガ賞受賞作 宇宙人と言われ友だちのいない兎田。彼は軽音楽部に所属していながら、いないものとして扱われバンドに入れてもらえない。挙句には文化祭の練習の邪魔だからと部室を追い出されてしまう。それでも一人で練習する…

神様のメモ帳 7 (電撃文庫) [感想]

公園に住んでいるホームレスの一人は、失踪した自分の父親かもしれない――今人気の若手アイドルから、父親探しを依頼されるアリスとナルミ。さっそく人探しを始めるが、そこに改造したエアガンで武装するホームレス狩り集団の影がちらつく――。 物語はシリアス…

ルナティック・ムーン〈5〉 (電撃文庫) [感想]

完結。 世界を回帰させる。バペルに収束していく戦いもクライマックスを迎えて、生きる人間と死んでいく人間とに極端に分けられ、物語が一気に終った。 特にイユとフィオナは印象的。 これまでも危うかったイユだけれど、ついに心のバランスが壊れた。思考が…

9S(ナインエス)〈5〉 (電撃文庫)

ADEM編、上巻。 勇次郎の痕跡をたどる由宇と闘真に追っ手が迫る。ADEMはミネルヴァの一件から組織存続の危機。そんな中、新に七つの大罪が表舞台に現れる。 印象に残ったのは、いなくなってしまった闘真を心配する麻耶だろうか。闘真の部屋まで訪れて、クッ…

9S(ナインエス)〈4〉 (電撃文庫) [感想]

上下巻構成の下巻。 引き続いて天国の門に関わる、KIBOUビルでの事件を追っていくのだけれど、読むほどに新たな展開に巻き込まれていくのが楽しかった。 登場するキャラクターが多く、それぞれが窮地陥るわけだが、その度に視点が切り替わることが多いので、…

カミオロシ 縁結びの儀 (電撃文庫) [感想]

御堂彰彦さんの新作。 学年トップの秀才である玖流緋澄と彼と双璧をなす才媛の識読美古都は、課外授業で神社を訪れる。その神社は最近学校で流行っている恋愛成就の”おまじない”と関連がある神社らしいのだが、おまじないに興味ない二人には関係のない話。け…

9S(ナインエス) III 〈3〉 (電撃文庫) [感想]

上下巻構成の上巻。 終盤まで読んでから上巻ということに気付いたのだけれど、そこまで一気に読み進めてしまった。文章が上手いので作品の中に入り込んでしまう。 映画を観ているみたいだと一巻の感想に書いた気がするけれど、今回はまさにそれで、闘真の視…

キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫) [感想]

第5回小学館ライトノベル大賞 優秀賞受賞作 海里克也は保健室で目を覚ましたが何故ここにいるのか分からない。保健医の話では、階段で転んで気を失ったらしいが、覚えていない。十歳のとき事故で家族を亡くし、記憶を失っている克也はまた記憶が消えたのかと…

こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫) [感想]

第5回小学館ライトノベル大賞 ガガガ大賞受賞 くらえ、ドロップキック。 立ち入り禁止の屋上に集まる4人。現実に復讐して自殺してやろうと考えていたけれど、自らの問題が解消されていくことで生き方が変わる。「オズの魔法使い」をモチーフにしたキャラクタ…

消閑の挑戦者―パーフェクト・キング (角川スニーカー文庫) [感想]

第6回角川学園小説大賞 優秀賞受賞作 天才少年である果須田裕杜が作り出した、究極のゲーム〈ルール・オブ・ザ・ルール〉、類稀なる頭脳と肉体を駆使して戦うこのゲームは、裕杜が世界中から集めた天才たちで行なわれる。そんなゲームに、高校生である小槙は…

煉獄姫〈3幕〉 (電撃文庫) [感想]

物語の闇が見えてきた。 ユヴィオールが進める王子暗殺計画。確実に目的を遂行しようとするしたたかさ、自ら凄腕の仲間を集めた手腕もそうですが、フォグに自分の本性を掴ませない彼の立ち回りが華麗。 加えて、集めてきた仲間にも物語の繋がりがあって。思…

アトリウムの恋人 (電撃文庫) [感想]

仮想世界「東京スフィア」へのチケットは何を舞い込むのか。 著者のこれまでの作品の特徴としてゲーム性、心理戦があったと思うが、今回の作品ではそれが抑えられている代わりに恋愛方向を膨らませていた。とはいえ、仮想世界と現実世界のやり取りが多いので…

ルナティック・ムーン〈4〉 (電撃文庫) [感想]

ルナが稀存種に目覚める。 半年が経過しているので、登場人物たちの立ち位置が微妙に変化しているのが、読んでいて嬉しかった。ルナやシオンは部隊を率いてケモノと戦っている姿を見て、成長したのだなと。 これまで以上にルナとシオンの繋がりが見えたし、…

憐 Ren 錆びゆくココロと月色のナミダ (角川スニーカー文庫) [感想]

私だけ、幸せでいいのか。 過去の日常になれてきた隣。こちらの時代に友達も出来て、学校生活というものを楽しむ自分がいるのだけれど、どこかで死んでしまった仲間を思う気持ちがある。 日常には慣れたけれど、まだ遠慮もあって。そんな隣の背中を軽く押し…

ゴールデンスランバー (新潮文庫) [感想]

仙台で行なわれた首相のパレード。その最中にラジコンヘリの爆弾で首相が殺されてしまう。仙台では犯罪抑止として、独自にセキュリティポッドというロボットが絶えず町を監視しているのだが、その映像から容疑者として浮かび上がったのは、数年前に暴漢から…

ムーの少年 (角川書店) [感想]

その現実はどこまでが現実なのか。 ムーを愛読する少年が出会うことになる少女は、自分のことを魔法使いだと言い張る。彼女の言動はまさに電波で、主人公はそれに巻き込まれることになるのだが、果たして本当に電波なのか。 読んでいて、誰が本当のことを言…

変愛サイケデリック (電撃文庫) [感想]

間宮夏生さんの新作。 変わった愛情を持った者が集まる「変恋部」。部長である彩家亭理子は、近寄りがたい雰囲気を持つ神宇知悠仁と偶然出会う。理子に、死にたくなくなる季節がないかと問う彼。変な青春が始まる。 恋愛物語なのかは分からないけれど、登場…

烙印の紋章〈8〉竜は獅子を喰らいて転生す (電撃文庫) [感想]

オルバが格好良すぎる。 物語を丁寧に描いてきただけに、終盤の盛り上がりが凄い。ギル・メフィウスが死んで、オルバが影武者として生きてきたわけだけれど、そんなオルバが演じたギルも死んだ。 改めて選択が迫られる。 ギルという仮面を捨てたはずのオルバ…