バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫) [感想]
小説バカたちの物語。
小説家を目指している主人公は、誰よりも小説家になりたいと思っている、努力もしている。けれど天才ではない。小説家になりたいけれど、その夢に苦悩する。そんなとき、大学の新歓コンパに全裸のバカがやってきて。
この全裸バカが主人公に与えた影響とは。
頑張っているのだけれど、報われない。才能がなければ小説家になれない、努力しても上手くなるわけではない。それでも書くことはやめられない。
新人賞への応募するときの心情だったり、小説を書く事の楽しさだったり、小説家になった人の書くということだったり、編集者の立場だったり。小説に存在すること描いていた。
どこからがフィクションで、どこからがノンフィクションなのか。
小説を書くということは、自分の妄想を相手に見せているのと同じことで、全裸を見られているのと同じくらい、冷静に考えたら恥ずかしい。じゃあ何で書いているのか。
著者自身のことが書かれているとは書いてないが、どこかしらでその部分はあるような気がした。
最後のオチとして、そのままの流れで終らせない。一つ捻って落としてくるところは著者らしい。読み手それぞれで捉え方が違うだろうし、あとがきにあるように一章をまた読み返したくなる。
がむしゃらになっている主人公も分かるし、夢と現実と割り切っている人の考えも分かる。どれも分かってしまうけど、やはり夢は応援したいし、見て欲しい。
人間は過去しか観測できないけれど、未来は見れないけれど、夢くらいは見てもいいと思う。読後感は何とも表現するのは難しい。良かった。
Presented by Minai.