星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA) [感想]
人類が太陽系から飛び出し、太陽系外の惑星に移住し始めて幾星霜。主人公ジントの住んでいる惑星は、「アーヴによる人類帝国」と名乗る大艦隊に突如として侵略を受け、これに征服されてしまう。
ジントは一般人から貴族に――。
政府主席だった父がアーヴと取引をし、降伏と引き換えに爵位を得たため、その息子であるジントはいきなりハイド伯爵公子ということに。この7年後が物語の舞台となる。
帝国貴族には色々と義務があり、その一つが学校に行き軍人になることらしく、ジントも星界軍の主計修技館に入学するため、巡察艦ゴースロスに乗り込むことになるのだが。
ここでアーヴの少女ラフィールと出会う。
このラフィールとの交流を描きつつ、物語は大きく動いていくことになるのだけれど、ジントは元々が地上人なので、様々なことに疎い。それが良い。
読者の気持ちを代弁するかのように、ジントが疑問をぶつけてくれたりするし、それは同時に物語の説明とも関わってくるのだが、読んでいて気持ちよかった。
また、ラフィールの描き方が非常に上手い。冷たい中にもどこか魅力があって、何より感情をしっかり表に出して発言してくれるので好感が持てる。
物語の終盤に登場する嫌味なキャラクターに、嫌いだと言ってくれるラフィールは素晴しいし、それらがジントとの対比で面白くなるのも上手い。
ジントとラフィールの関係性が楽しい。
基本的にジントの視点で進むが、後々になって考えたとき、その場でのラフィールの言動がどういうことなのか判明したりするのが楽しい。そうだったのかと納得できる。
面白かった。
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- 作者: 森岡浩之
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