僕たちは監視されている (このライトノベルがすごい!文庫) [感想]
IPI症候群と呼ばれる病気が蔓延している世界。その病気は秘密を集めることが止められなく病気で、患者はIPI配信者と呼ばれる人達から秘密を集めることで、その病気を治療する。そんなIPI配信者である少女が転校してきたことで、主人公の高校生活が変化する。
自分の生活をWEBで配信することで、監視されている主人公の祭。彼女の場合には自宅と公道だけに制限した配信なのだけれど、転校生であるユイガは全てを配信している。
そこから生まれるクラスメイトとの不和。IPI配信者の近くにいるということは、IPI配信者ではない人も監視されることになり、それは嫌がる人がいるのも無理ないのだけれど、社会の為にやっていることなのに非難されるというのは本来ならおかしいことで、非難のされ方も酷いのでやるせない気分になる。
また、祭にしても、IPI配信者になることで自活せざるを得ないので、そのためにプライベートを配信するというのも、何ともな気分になる。
社会に浸透しているが、していなさ過ぎて。WEB上でのコメントでもそうなのだけれど、軽々しい発言は配信者のことを全く考慮していないような気がするし、それがまかり通る世界も何か歪に感じた。
配信者の苦悩と、友達が欲しいということ。
複雑な世界観なのだけれど、物語で描かれていくのは友情だったり青春の部分で、そこに情報が溢れる現代社会の問題をさり気なく提示してくれているのは好感が持てた。
しかしながら、監視されている、そんなタイトルから想像した物語とは方向性が違っていた。てっきり、監視されている現代社会を更に未来化させたものでの青春モノなのかと想像していたので、拍子抜けしてしまった。
また、今ある動画投稿サイトを彷彿とさせる世界観には、追いつけていない部分があって、そこでのネットアイドル的な立ち位置の登場人物たちには違和感を感じて馴染めなかったし、引いて身構えてしまうのが正直な感想。物語での大人の対応、社会の対応、学生たちの対応、ネット世界の対応、それらに単純に嫌悪感を覚える。
設定は良いし、扱っている問題を落とし込んだのもいいと思うのだけれど、物語がイマイチ感が強かった。
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- 作者: 里田和登,国道12号
- 出版社/メーカー: 宝島社
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