羽月莉音の帝国 4 (ガガガ文庫) [感想]
EE(エグゼスエレクトロニクス)買収をどのような手法でいくのかと思ったら、莉音はその手をすり抜けるかのように上手くやってくれましたね。前に立花社長となにやら話していたことはこれだったのかと。
そもそも革命部はEEを買収するのが目的ではありませんし、最初からウェスタンユニオンだけが欲しいので、この方法とも言えない駆け引きには納得。
けれども、そこからの展開は予想外。
まさか、ヤクザ屋さんに殺されそうになるとは思わないし、ましてや莉音が≪ネタバレネタバレ≫の展開などは想像が及びませんでした。加えて、あのツンデレ爺さんがやりおります。
怒っているのかと思いきや、ただ素直になれないだけで、自分をもっと頼って来いという。頼ると今度は、そんなことで呼ぶなといい、それだけでいいのかと可愛らしいことを言う。
改めてキャラクターの立ち位置が良く出来ているのだなと気付かされた。多くのキャラクターはしっかりした大人だが、そのバランスを意図的に崩すように、時々はっちゃけたキャラクターが加わるので楽しいです。
また、駆け引きが面白いことにも変わりない。EEでのやり取りがその典型であるし、後半のそれもそうでしょう。間の読み合いの緊張感が良いです。
中盤以降になると、革命部は銀行を作る為に動き始める。いつかは来るのだろうと思っていたが、ここで来た。もちろん審査があるので簡単ではないのだけれど、そこはお馴染みの方法で切り抜ける。
早い話が銀行を買収してしまえばいい。
これまでの革命部の経営状況もいい加減に火の車なのにも関わらず、ここでも加速を止めない。綱渡りもいいところで心臓に悪いです。そして、落としどころとしての繋ぎ――もう、続きが早く知りたい。あの終り方は読まないと不安で仕方ないです。
そんな具合で、今回も楽しませてもらいました。面白かった。
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- 作者: 至道流星
- 出版社/メーカー: 小学館
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