星界の紋章〈3〉異郷への帰還 (ハヤカワ文庫JA) [感想]
地上へ逃れたジントとラフィールだったが、その足取りを警察に捉まれてしまう。二人は地上での逃亡劇を開始するが、宇宙ではスファグノーフ門沖会戦が始まった。
ジントとラフィールは永遠と地上にいるので、宇宙での戦いとの接点は少ない。あくまで二人は逃亡劇を演じているし、どうにかして帝都ラクファカールにたどり着かなくてはいけない。
その道中の二人の関係はやはり魅力。
ラフィールは強さと同時に可愛らしさも併せ持っていて、その強烈な印象に物語が引っ張られる。ジントはその引き立て役に回っているけれど、案内役としては完璧で。
そこからラストシーンへの繋いでいく部分は素晴しかった。
この物語に明確な終わりが付けられたわけではないが、終り方としては完璧。それまでの苦労を二人が共有して、その関係性が今では恋人のように近付いているのが分かる。
序盤の関係からここまで進んだ。その実感が読み手にも伝わってきて、こちらも満足できる。
そういう意味でもラストシーンは印象深かく映る。それを読むことで、これまでの全てが思い出せるし、その台詞が抱える意味が頭に溢れてきて、満足感は最高潮になるから。
本当に綺麗なラストシーンだった。
思わず鳥肌が立ってしまったし、ラフィールが目の前に見えて、納得してしまった。
面白かった。
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- 作者: 森岡浩之
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