星界の戦旗〈2〉守るべきもの (ハヤカワ文庫JA) [感想]
幻炎作戦が大勝利に終った帝国は、部隊を再編成して狩人作戦を開始する。バースロイル艦長であるラフィールも作戦には参加しなければいけないのだけれど、ビボース提督に領主代行を命じられてジントと惑星ロブナスIIに行くことに。
領主代行は貴族でなければいけないというわけではないけれど、毎回の様に二人にお鉢が回ってきます。しかし、今回の領主代行は何やら雲行きが怪しい。
それぞれが星系首相だと名乗る者が四人も現れて、話がまとまらない。仕方ないので副代行のジントが地上世界に下りてまとめようとするが、その過程でロブナスIIが囚人を隔離するための惑星だと判明する。
ジントは地上にいて、ラフィールは宇宙に。
物語が進むごとに地上世界が緊迫した状態になっていって、不安どおりに内乱が起きる。ジントが危機的な状況にいるのに、宇宙にいるラフィールには何も出来ない。
この前、ラフィールが地上世界に下りたときにはジントが側にいて、ラフィールも助けてもらいながら、ジントをラフィールが助けたわけだけれど、それが出来ないから歯痒い。
そんな二人の距離感が作品を盛り上げていた。
ラストシーンはとても印象深くて、これまでの二人はもちろんだけれど、今の二人の関係を表現していて良い。ジントの台詞とラフィールの反応で全てが満足。
ラフィールの魅力が更に深まりました。格好良くて、可愛らしい。冷たくて熱い、そんな相反するバランスが素晴しい。
艦隊戦は作戦が展開されているだけに無いわけではないが、大規模なものではなく、あくまでラフィールとジントに関連する部分でのものだ。SFでの艦隊戦の面白さは少ないけれど、それ以上に緊迫した命のやり取りが描かれる。
SFというジャンルでも描かれるのは人間のやり取りで、そんな当たり前を意識させてくれる。面白かった。
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