ウィザーズ・ブレイン〈5〉賢人の庭〈上〉 (電撃文庫) [感想]
もう一人の元型なる悪魔使い登場。
シティ・メルボルンでのディーとセラ、賢人会議を巻き込んだ騒動が描かれる。世界樹を巡り錬とフィアが戦っていた裏側では、時期を同じくして戦いが繰り広げられていた。
錬とサクラの対比。
悪魔使いと言えば錬で、彼は過去にマザーコアの少女フィアを救ったことがある。もう一人の悪魔使いであるサクラは、過去にマザーコアの少女を救うことが出来なかった。
逆に考えると、錬は一人を助けて大多数を救えなかったことになり、サクラは一人を助けられず大多数は助かったということにもなるわけで。二人の対比から見える部分は楽しめた。
また、サクラが真昼に助けられるというのも良くて、悪魔使いとして卓越した強さを持っているサクラなのだけれど、Iブレインを持っていない真昼に助けられることで、どこか空回りというか、それまでの立場が良い意味で崩れる。Iブレインを持っていない人物が活躍していくというのは熱い。
このことから、真昼に接するときのサクラの態度はどこか普段と違っていて、一人で何でも出来る女の子のはずが、どこか幼く映り可愛らしい。
ディーとセラの微妙な関係も物語を面白くしている。
お互いにぎくしゃくしてしまっているのを分かっていて、それでもどうしたらいいのか分からない。ディーとセラが離れ離れになりそうなると、お互いに心配し合うというのも切ない。
イルのこともあるけれど、ディーが活躍するのが楽しみだ。
上巻は次への布石という意味合いが強いのかもしれないけれど、キャラクターたちの関係性がとても魅力的に描かれているので楽しめた。
面白かった。下巻も読んでみたいと思う。
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- 作者: 三枝零一,純珪一
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/05
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