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ご主人様は山猫姫〈6〉 辺境双璧英雄編 (電撃文庫) [感想]

ご主人様は山猫姫 (6) 辺境双璧英雄編 (電撃文庫)

 

 安心して面白いこのシリーズ。

 

 緑軍から見事に侘瑠徒を守りきった晴凛たち。弱小の反乱軍だったのが、緑軍の一部を取り込んだことで、ここにきて一万を超える一大勢力に成長した。――今度はこちらが攻勢に回る。

 

 基本的には侘瑠徒での防衛戦を展開してきた晴凛たちだったけれど、今回は攻める戦いなので、また違った面白さが読める。防衛戦では敵が諦めるまでが戦いで、晴凛たちは嵐が過ぎ去るのを待つしかない。

 

 耐えに耐えて、敵が逃げるように仕向ける。防衛するのは成功しても、それでは戦には勝てないのが事実としてあって、どこかで侘瑠徒の外に目を向けなくてはいけないのだが、それが今回だ。

 

 ――県都の延声を落とす。

 

 沢樹の失敗した攻城戦を延声に仕掛ける。立場が逆になっているのが何とも皮肉であるし、攻城戦の説明などは前にされているだけに他のことを描いているのは上手い。

 

 本当の意味でボコボコにされる沢樹に、思わず同情してしまう。そういう意味で、敵には悪い人しかいないので、シリーズ通しての戦記モノだけれど分かりやすい、を貫いていて良い。

 

 また、晴凛を巡ってミーネとシャールがラブコメしているのも微笑ましいでし、ミリンと光凛の関係が今後どうなっていくのかも期待したい。

 

 作品の中に明るさが満ちているので読んでいて重くなりすぎないですし、物語とのバランス、調整の仕方は見事。

 

 面白かった。

 

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