ぼっちーズ (単行本 アスキー・メディアワークス) [感想]
ぐへぇ
ある大学を舞台に描かれる短編集。特別なものが欲しいわけではなく、誰もが気軽に手にしているものが欲しい――友達がいない人たち、ぼっち達が友達を手に入れるために頑張る話。
友達とは何だろう。
作中で、友達とは自己愛という解説がされるのだけれど、これは聞いたことがある人はあるだろう。つまりは、他人に自分との共通項を見つけることで、仲間意識が働き、自分と同じだ、とそこに自己を投影する。誰しも自分が好きだから、自分と同じ他人のことは好きになれる。それが友達だと言い換えている。言われるとああ、なるほどと納得してしまう。
人によって友達というラインには個人差があって、その壁が高い人もいれば低い人もいる。他人と友達の違いはどこなのだろうか。そもそも、友達が多い人はそんなことは考えていなくて、誰もが深くは考えず当たり前のように友達を作っている。
けれども、彼らにはそれが出来なかった。
大学生活に友達が欲しくて、独りぼっちが集まるわけだけれど、それで集まってもぼっち達になるだけ、というのは興味深い。普段は友達として接している人間も、言うなれば他人で。人間誰しも友達と思い込もうとしているだけで。
世界にはぼっちしかいない。
だから、友達として集まっても、そこにはぼっち達が溢れているだけ。斜めに見ているかもしれないけれど、それを本気でやっている奴がいる。
独りぼっち達を読んでいくことで、友達の本質が見えてくるのは面白かった。読み終わったときに、物語に納得できる。
Presented by Minai.
- 作者: 入間人間,宇木敦哉
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2010/11
- メディア: 単行本
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