Infinity recollection

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空色パンデミック Short Stories (ファミ通文庫) [感想]

空色パンデミック Short Stories (ファミ通文庫)

 

短編集。

 

空想病に振り回されるのはいつものことですが、長編ではないので内容が日常に寄っている。空想病にしても、微笑ましい痛々しい中学二年生な話に仕上がっているので、とても読みやすかった。

 

空想病もジブリ、エヴァ、メタルギアなどの分かりやすいパロディネタを駆使していて、非常に楽しませてもらった。コミカルに動き回るキャラクターたちが面白かったですし、ラブコメなど終始あかるく読めた。

 

「空をあおげば」

始まりは結衣の空想病で、青井は偶然にも結衣にとって恋のライバル的なキャラクター役を与えられただけなのだけれど、途中から役関係なく景を取り合う二人の姿にニヤニヤしてしまいました。

 

また、景は景で結衣の中では小説家を目指していることになっているので、実際に小説を書かなくてはならず、しかもその内容が恥ずかしい。加えて、交換日記をやることになったりして、これが新たな火種につながり、最後は公衆の面前で叫んで告白。恥ずかしさの嵐。嬉しいのか悲しいのか、見事に振り回されていました。

 

「閉じた世界の片隅で、私に響くほしのおと」

これはWEBで掲載されていたときに読ませてもらったのだけれど、いい具合にパロディが使われていつつも、独自の設定が組み込まれていて面白い。そこでそれを使うのかと、繋がりを読むのも楽しい。何気に森崎が活躍している話で、ファインプレーがグッジョブでした。

 

「そして伝説は引き継がれる」

森崎スゲーと思ってしまった話でした。書くことは他にもある気がしないでもないけれど、印象に残ったのは森崎の役者魂。キャストとして頑張ればいいのではと思わされる頑張りに素直に凄いなと。

 

「バッド・メディスン」

唐突にやってきたメアリーが持ち込んだのは、空想病のパラドックスを数時間の間だけ治す薬で。これを飲めば青井はちょっとの間は元に戻れるけれど――という話。青井の意味深な行動にもドキドキさせられましたが、メアリーの心情にも思うところがあって。果たして飲むべきなのか飲まざるべきなのか。

 

全体通して楽しませてもらいました。どの話においても、青井の景に対する言動や仕草が話を面白くしていて、的確な森崎の立ち位置に感動すら覚えました。面白かった。

 

 Presented by Minai.

空色パンデミック Short Stories (ファミ通文庫)

空色パンデミック Short Stories (ファミ通文庫)