電波女と青春男(7) (電撃文庫) [感想]
丹羽くんの妄想が暴走している短編集。
前川さんと付き合っている高校生活、リュウシさんと付き合っている大学生活、エリオとお互いに年老いての日常、近未来的なお話、この後の丹羽くん次第ではありえなくもない物語の数々が詰め込まれている。
基本的には丹羽君の妄想なので、ラブコメしている姿に気持ちよくニヤニヤ出来ます。この文がすでに気持ちいいと反対にいる気もするけれど、ラブコメを楽しめます。
普段はそこまで押してこない前川さんとも、既に付き合っているので、制服が可愛いだとか原付の免許がどうとか、見事にバカップルな二人。恥ずかしながらも積極的な前川さんに悶えます。
リュウシさんも大学生ということで髪が長くなっているし、丹羽くんも格好良くなっていて、リュウシさんはいつの間にか流子さんになっている。幸せだけれど、どこか寂しい。それでも最後は丹羽くんが引っ張っていて良かった。
お互いが年寄りになったエリオとイトコのお話は、孫が登場したりと心が温かくなった。未来なお話では切ないけれど、お互いに子どもを忘れない、青春していく姿が良かった。
妄想の話を全て読んでから、今に繋がっていく。
妄想ではどれもが楽しそうな未来だけれど、それと同じくらいに寂しさがある。高校生活で得られた青春はかけがえのないもので、妄想での今は幸せで楽しそうだけれど、どこか喪失感もある。これらは比べられるものではないけれど、比べてしまう。
そして現実の今は青春女が頑張っている。そんな対比が面白いし、丹羽くんのは妄想だけれど侮れない。
友達という存在を感じながら、ケータイに番号を登録したり、地球人らしさを手に入れていくエリオ。カラオケもそうだけれど、四人で集まることに違和感がなくなっている関係性が読み手としても嬉しかった。
切なく、青春。これからどうなっていくのか気になります。面白かった。
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