生贄のジレンマ〈下〉 (メディアワークス文庫) [感想]
生き残りゲーム完結。
クラスという単位での生き残りから、物語は個人戦での生き残りにシフトしていく。その流れは読んでいて残酷。救済イベントの末路も酷いものですし、人を殺してでもと決意した人間の強さと弱さを見た。
これまで、崖の一歩手前で堪えていた協調するという姿勢が崩れる。
セカンドステージにゲームは移るわけだけれど、クラスで戦っていたものが個人となっただけでこれほどまでに狂気に満ちるのかと。コミュニケーションをとって協調することが一番いいはずなのに、人間は裏切りを選択する。
会話してはいけないので、自然と思考の渦に飲み込まれていく登場人物たち。協調すべきであり、裏切りを選択することが賢いやり方なのも確かで。けれど、裏切ってばかりいると破滅を迎えるというジレンマ。
協調したい、裏切りたい。人間が見えてきた。
また、最後に残った二人の対決も壮絶でしたし、最後の一連の流れからはなるほどと納得し、非常に楽しませてもらった。面白かった。
ただ、終り方が物足りなかった印象は受けた。いつものことではあるし、著者の作品は大体がこの系統の終わりだけれど、そこで終る気がしない終わり方をするのでどこか気持ち悪い。
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- 作者: 土橋真二郎
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2010/12/25
- メディア: 文庫
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