Infinity recollection

ライトノベルを中心に感想を載せているサイト。リンク+アンリンクフリー。

9S(ナインエス) (電撃文庫) [感想]

9S(ナインエス) (電撃文庫)

 

過去に「狂気の天才」と呼ばれた科学者がいた。彼が残した発明は「遺産」と呼ばれ、国家や組織がそれらを奪い合うような構図が世界に構築されている。そんな中で循環環境施設スフィアラボが武装集団により占拠されてしまう。これを解決するために、切り札として天才少女を送り込む。

 

凄く読みやすかった。

 

世界観はハードSFなので確かにSF単語も並ぶのだけれど、それは物語を邪魔しない程度に抑えてあり、あくまでキャラクターを描いて話を作っているのが好印象。

 

アクションとの組み合わせも格好良い。

 

読んでいて文章が想像しやすいので、映像になって文字が流れていくのは気持ちが良い。閉鎖された施設での緊迫したやり取りが面白いのもそうだけれど、視点の切り替えが上手い。そして、主人公の闘真が読み手の視点も兼ねてくれるので感情移入しやすい。

 

由宇が物語を案内してくれるので、闘真と読み手はそれについて行けばよい。そんなシンプルさが読みやすさに繋がっている。

 

また、登場人物たちが何か凄い能力を持っているのも魅力で。設定としてはよくあるけれど、由宇を筆頭に格好良さが前面に出ていて爽快感がある。キャラクターの関係性も魅力に映った。

 

由宇のコミカルさも作中に色を出していて上手い。天才で強いけれど弱い彼女が、女の子らしいかで闘真と議論になるのは微笑ましく、和んだ。ギャップにやられる。

 

面白かった。読後感も映画を観終わった心地よさがある。

 

 Presented by Minai.